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とにかく人を喜ばせたい!お客様の声から地域の魅力発掘を(株式会社たびぞう)

新型コロナの影響で各地の観光業が苦しい状況に立たされた中、温泉で有名な城崎の地で事業転換を図り、顧客の声とともに企画をつくる顧客共創型の旅行ビジネスを進めるのが株式会社たびぞうです。地域の新しい魅力をお客様と共に発掘し続ける同社の取組を追いました。

株式会社たびぞう
設立 2019年
資本金 600万円
従業員数 6名
所在地 兵庫県豊岡市戸牧539番地の8
#セルフガイドツアー #EVモビリティ #着地型観光

コロナ禍がきっかけとなった事業転換

一見どこにでもあるような川や田んぼ。そんな地域の原風景に着目して、魅力的な人気スポットとして転換させたのが、株式会社たびぞう(兵庫県豊岡市)です。

同社が提供する「城崎ぷちたび」は、利用客は同社が企画した5つのコースから行き先を選び、オリジナルのマップを手に、バイクやトゥクトゥクといったEVモビリティを活用しサスティナブルに城崎の地を巡るもの。
地元に精通した人達がツアーの内容や企画をつくる「着地型観光」でありながら、ガイドは同行しないセルフガイドツアー方式を採用しています。

小回りがきき気軽な旅が楽しめるトゥクトゥク

2019年に起業した当初は、近隣旅館と協力してサイクリングツアーなどを企画、運営を行っていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響によって利用客は大きく減少しました。

一時期は売り上げがゼロになるなど、そんな危機的な状況がきっかけとなり生まれた「城崎ぷちたび」は、密を避けながら、自由自在に楽しめる新しい旅のスタイルを提供しています。

「お客様を第一に!」自由自在なセルフガイドツアー

「城崎ぷちたび」の特徴はなんと言っても「お客様を第一に」考えること。
旅行出発前のプレガイドでは、あえて細かい説明はせず、お客様が見たいものや、やりたいことを丁寧に聞き取り、それぞれのニーズに合った楽しみ方を紹介します。

プレガイドの様子

希望によっては直前でもコースの変更が可能、これもセルフガイド方式だからこそできる長所です。たとえ同じコースでも、家族、恋人、友人など一緒に巡る人によって案内のポイントを変えたり、季節や天気に合わせた見所紹介を行うなど、お客様が自分たちだけの特別な旅を楽しめるような工夫を行っています。

運がよければ出会えるコウノトリ

 また、旅のお供となるオリジナルマップには、城崎の魅力がたっぷり詰まっています。中でも一番人気のスポットは、小さな島に広がる辺り一面の田園風景だ。一見特別なものはない地域の原風景。その楽しみ方は、ツアーから帰ってきた利用客達が教えてくれたといいます。
交通量がほとんど無く、電柱が一本もない開放的な風景は、撮影スポットとしても、電動バイクで駆け抜けても楽しめると大好評になっています。

眺めるだけでワクワクするオリジナルマップ

 そんな同社の事業は、全国の着地型滞在プランを提供する事業者を表彰する、第3回「Attractive JAPAN Award」(㈱地域ブランディング研究所)において最優秀賞を受賞しました。セルフガイド形式で感染症対策ができる点、地域資源をうまく取り入れたニューノーマルな旅のスタイルとして、先進的な体験プランを確立している点が高く評価されたのです。

地域の特徴に合わせた事業展開

「城崎を訪れた人にもっと城崎の魅力を知って、楽しんで欲しい。」そんな大林代表の思いから、同社は新たな取り組みに挑戦しています。

城崎温泉街には、七つの外湯があり、観光客は外湯巡りを楽しんだり、周辺のお店に立ち寄ったりとそぞろ歩きを楽しみます。一方、中には、高齢者をはじめ歩行での移動を負担に感じる人もいます。

そこで、城崎ぷちたびの営業終了後に同社のスタッフがトゥクトゥクを運転して巡回し、宿から温泉街、温泉街から宿に送り届ける取り組みを考えました。これでハンデを抱える観光客もトゥクトゥクによって楽に自由に移動ができるようになり、城崎を訪れた人みんなが思う存分に散策を楽しめます。

また、2022年11月に新たに三重県伊勢市でも「伊勢ぷちたび」を始めました。
始めるにあたって、最も大切にしたのは、地域調査を入念に行うことだといいます。その観光地に行く観光客は何をしたいのか、どれくらい滞在しているのかなど、実際のお客様の声を聞きながら確認し、観光ニーズに合わせた事業を提供出来るように進めています。

お客様の声に耳を傾け取り入れることで、地域の新しい魅力を発掘する。
株式会社たびぞうは、今後も地方観光を盛り上げていくに違いありません。


KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。

2023年1月に発表された「KIZASHI vol.20 『不変と可変 揺るぎない価値観、絶え間ない挑戦』」では、事業環境の変化を前向きに捉え、絶え間ない「挑戦」を続ける中小企業11社に対しインタビューを実施し、その「挑戦(可変)」の裏に宿る、揺るがない「価値観(不変)」を大切にしている姿を特集しています。

https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/jirei/jirei20.html

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