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大気中のCO₂を素早く吸着 回収ハニカムからGXを実現!(株式会社ユニックス)

時代を先読みし確かな技術力で脱炭素に挑戦

株式会社ユニックスは繊維事業を軸に、「フィルター」、「不織布」、「樹脂コーティング」という3つのテクノロジーを柱として事業を展開する滋賀県の企業です。
顧客のリクエストに最大限に応えるため、時代の流れを的確に把握し、迅速で柔軟な対応ができる企業を目指しています。

カーボンニュートラルという流れをつかみ、1940年の創業以来、長年培ってきたテクノロジーを応用して、これまでにないCO₂回収ハニカムの研究開発から商品開発まで一貫して取り組む同社の常務取締役の西村晋一さんに話を伺いました。

株式会社ユニックス
設立  :1940年
資本金 :3,000万円
従業員数:63人
業種  :フィルター・不織布製造、樹脂コーティング等
所在地 :滋賀県愛知郡愛荘町愛知川821−1
#ハニカムでCO ₂回収 #高い評価の成形技術 #小型ポータブルにDAC


吸着剤の性能は落とさず成形 オンリーワンの高度成形技術

同社はもともと不織布を製造しており、環境対策にも意識を向けるなかでフィルター領域にも事業を拡大しました。
粉末吸着剤の性能を落とさずにハニカム構造のフィルターに成形する高度成形技術が同社の強みであり、これまで、ものづくり補助金等を活用しながら研究開発を進めてきました。

特に、有害物質を取り除く活性炭ハニカムは、大手半導体製造企業を中心に利用されていますが、通常製品では3ヶ月程度の交換サイクルが同製品では1~2年と長寿命であることからユーザーからの評価も高く、他社の追随を許さない品質を誇っています。

活性炭ハニカム

CO₂回収ハニカムは、押出成形技術を活用した事業拡大を目指し情報収集をする過程で、温度変化によりCO₂ の吸着・離脱を可能とする吸着剤技術を有する企業とマッチングし、以降3年もの間、世にない新商品の開発に取り組んでいます。

家庭や中小規模装置向け CO₂分離回収ソリューション

CO₂吸着剤をハニカム構造に成形する技術は、地元の信楽地域ならではの混合、練り、乾燥、焼成、固体化のノウハウに加え、これまでフィルター事業で培った材料を効果的に組み合わせる配合ノウハウが生きているといいます。

ハニカム構造のCO₂回収材は、接触面積が大きいために、安定したフィルタリングが可能になることや、風速ロスの少なさ、メンテナンスの容易さ等のメリットがあるため、CO₂回収にコストを掛けられない中小規模の装置やプラントでの利用に適しているといえます。

性能面では、ハニカムで一度に吸着できるCO₂量はアミン溶液(※1)に比べると10分の1程度と少ないが、加熱と冷却を一定のサイクルで繰り返し行う装置にハニカムを組み込むことで、吸着と脱離の頻度を増やし回収量を向上させる研究も進めています。

※1:アミン溶液
CO₂と結合しやすいアミンという化合物の水溶液。
化学反応を利用して、CO₂を分離する化学吸収法に用いられる。

脱臭機能付CO2回収材(開発中)

また、CO₂回収技術は、CO₂濃度によって適した方法があります。
同社はCO₂ 濃度が極めて高くなる大規模工場の排気ガス等の領域との棲み分けを図り、家庭向けをはじめ、大気中などのCO₂濃度が低い領域をターゲットとして、ハニカムのナノレベルのデザインや形状で勝負しています。

日常の中でCO₂を回収 脱炭素を自分事にしていく

同社のCO₂回収ハニカムを活用するパートナー企業が一丸となれば、プラントに匹敵するCO₂の回収も可能になると言います。
このハニカム自体は、CO₂を分離・回収できるという特徴を持つが、回収したCO₂を有効活用するシステムを開発するには、パートナー企業との連携が不可欠です。

活用方法については様々な可能性がありますが、同社のCO₂回収ハニカムは臭気がなく人体に無害という特長があることから、コンパクトかつポータブルな生活雑貨として組み込むことも可能であり、例えばハニカムを広く配布し、家庭や人が多く利用する場所で利用してもらい、CO₂吸収量に応じてポイント等のインセンティブを付与することで消費者のカーボンニュートラルへの意識改革につながるような取組も考えられます。

消費者参加型カーボンニュートラル実現への取り組み構想

同社の多様なターゲットを想定したCO₂回収の商品開発と、 カーボンニュートラル社会の実現に向けた普及活動への挑戦は今後もとどまるところを知りません。


KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。

https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/jirei/jireitop.html

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