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「金属熱処理」の認知度向上のため、オリジナル製品を開発したい(朝日熱処理工業株式会社)

ものづくりの一工程である金属熱処理に特化し、様々な精密機械部品の「金属熱処理」や「表面処理」に取り組んでいる朝日熱処理工業株式会社

「金属熱処理」という加工技術を、特殊な技術としてだけでなく、身近なものとして知ってもらいたいと、自社のオリジナル製品を開発するために副業・兼業人材を活用された織田社長にお話を聞きました。

朝日熱処理工業株式会社
設立 1978年
資本金 5,700万円
従業員数 36名
業種 製造業
所在地 大阪府寝屋川市葛原2丁目9番1号
#金属熱処理 #副業人材 #兼業人材 #外部人材 #身近な事例から学ぶ副業兼業人材活用

朝日熱処理工業株式会社の副業・兼業人材活用について

-副業・兼業人材を活用したきっかけについて教えてください。 

もともと自社のオリジナル製品を通して、金属熱処理の魅力を広く発信したいと考えていました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で受注が減少し、会社として新規開拓の必要性があると感じ、新製品開発に取り組むことを決めました。

しかし、これまで受注生産を専門にしていたこともあり、社内に新製品開発ができる人材がいませんでした。そこで、人材総合窓口の大阪プロフェッショナル人材戦略拠点に相談したところ、副業・兼業人材の活用について紹介いただきました。

新製品開発の実績のある方に、短期間のプロジェクト単位で業務を依頼できることを知り、社内にノウハウ移転ができるとともに、人材育成にも繋がると思い、副業・兼業人材を活用することにしました。

-どのような人材を求めていましたか?

求人募集を出したときは、1人でも応募があればいいと思っていましたが、実際には20人以上の方からの応募があり、大変驚きました。

「新製品開発の実績がある人」や「新規事業立ち上げ経験のある人」から新製品開発に関するアドバイスをいただきたいと思っていました。

また、自社の事業内容に興味を持ち、一緒に悩んで考えてくれる人かどうかも決め手の一つになったと思います。その結果、2名の人材に来てもらうことになりました。

-新製品開発について、どのようにプロジェクトを進めていきましたか?

副業人材2名の方との週1回のオンラインミーティングを基本として、プロジェクトを進めました。

最初の1か月は、自社事業の概要把握や新規事業の方向性についての打合せを重点的に行いました。
そして、営業部門の担当者と一緒に市場・顧客分析をして、新製品開発におけるロードマップを作成しました。

現在は、製造部門の担当者が主体となって、副業人材からアドバイスをいただきながら試作品開発に取り組んでいるところです。

副業・兼業人材の方には、新製品開発のアイディア出し、市場・顧客分析の資料作り等をお願いしました。また、営業戦略や経営に関する相談相手にもなっていただいています。

打ち合わせの様子

-副業・兼業人材活用にあたり、工夫したことや心がけていたことがあれば教えてください。

最初は業務の切り出しが難しく、何をどこまで依頼すればいいのか悩みましたが、作業時間等を考慮しながら過度な要求をしないように気をつけていました。

通常業務との兼ね合いで、自社での作業が計画どおりに進まないこともありましたが、作業スケジュールを見直すなど工夫して、副業・兼業人材の方に任せきりにならないように取り組みました。

また、社内にノウハウ移転するためには、社員と副業・兼業人材の方との関係性の構築が重要だと思い、プロジェクトの早い段階から社員を巻き込み、一緒に作業を進めるための社内体制を整えました。


熱処理設備

-実際に副業・兼業人材を活用されて、変化や成果はありましたか?

新製品開発のプロジェクトにおいて、ゼロからのスタートだったにもかかわらず、試作品開発の段階にまで進んでいることが一つの成果だと思います。

また、副業・兼業人材という社外の人と打合せをすることで、第三者の視点から見た自社の強みや課題に気づくことができ、自分自身の意識が変化しました。

さらに、副業・兼業人材とのオンラインミーティングを機にWEB会議システムを整えたことで、既存顧客との取引などにおける営業ツールとしての幅も広がっています。 

-最後に、副業・兼業人材を活用した感想をお聞かせください。

新規事業に取り組む上で、専門スキルを持った人材の方の知見を活かせる貴重な機会となりました。

試作品開発から実際の製品開発段階に進む際には、デザイン分野に強い副業・兼業人材を新たに活用したいと考えています。

副業・兼業人材の活用に興味がある方は、まずは「やってみる」ことが大事だと思います。自社で解決できない課題を一緒に考えて解決してくれる人材に出会えると思います。

副業・兼業人材の声
依頼内容で副業の応募先を選定していますが、同社を選んだ理由は、商材に興味があったこと、社長の思いに共感したことが一番の理由です。織田社長や社員のみなさまが一緒に作業に取り組む姿勢が感じられ、副業しやすい環境でした。
(Aさん/インフラ関連企業)

「新製品開発」での求人募集があり、自身の新規事業立ち上げの経験を活かせると思い応募しました。本業のIT分野以外の業務に関わることで、現場目線の重要性に気づけました。
(Oさん/IT企業)


KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。

KIZASHI 番外編「2022 副業・兼業人材活用事例集 - 身近な事例から学ぶ 人材と企業の新しい『関わり方』-」

昨今の中小企業経営においては、新事業・新商品開発、新たな販売チャネルの獲得、IT・DX化、事業承継等の様々な経営課題について、社内で対応できる人材を確保しているケースは少なく、専門人材の確保が急務です。

その中で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によるリモートワークの進展や大企業による副業の解禁等が、大企業の従業員やフリーランス等の働き方に新たな選択肢をもたらし、中小企業における副業・兼業人材活用の機運が高まっています。

そこで当局では、2023年5月にKIZASHI 番外編「2022 副業・兼業人材活用事例集 - 身近な事例から学ぶ 人材と企業の新しい『関わり方』-」を公表し、副業・兼業人材を活用した先進的な11の取り組みをご紹介しています。

https://www.kansai.meti.go.jp/2sangyokikaku/2022jirei.pdf