副業・兼業人材の力をお借りして、人事採用の長年の悩みを解決したい(昭電工業株式会社)
電気設備工事や空調工事に関する事業を展開し、京都府北部地域を中心に生産活動に必要不可欠な電気設備の設計・施工・メンテナンスを行っている昭電工業株式会社。
今回は、副業・兼業人材を活用した人事採用の取組方針の見直しについて、同社社長の目見田さんにお話を伺いました。
-副業・兼業人材を活用したきっかけについて教えてください。
京都北部エリアという地域特性もあり、以前から人材採用には課題を感じていましたが、目先の業務に追われていて、やるべきことを後回しにしている状況でした。
また、私自身が人事採用業務を兼任していることもあり、どうすれば求める人材を確保できるのか、地域の金融機関や京都プロフェッショナル人材戦略拠点に相談したところ、副業・兼業人材の活用についてご紹介いただき、人事採用を専門領域とされている人の力を借りてみようと思ったのがきっかけです。
民間求人広告やハローワーク等を活用して求人募集をしていても思うような成果が得られず、優秀な人材を採用するためには、さらにどのような取組をすればいいのかわからない状況であったため、副業・兼業人材の方と一緒に考える機会があればいいなと思いました。
-どのような人材を求めていましたか?
有料求人広告などの広告プロモーションの提案だけでなく、会社の理念に寄り添って、一緒に考えてもらえる人がいいなと思っていました。また、社長の右腕的存在として、悩みが打ち明けられるよう同年代の方が適しているのかなとも考えていました。
今回依頼したKさんは、大手企業での人事・採用経験が豊富なところ、地方出身で京都北部エリアの地域特性を理解いただけそうなところが好印象でした。面接をした際、中小企業の現場に寄り添った提案をいただき、この人と一緒に仕事をしたいと思えたことが決め手になりました。
-どのようにプロジェクトを進めていきましたか?
最初の1か月は、採用に関する悩みや採用にかけられる予算などをありのままお伝えして、現状を理解いただくことからはじめました。
そして、当社が出展する合同企業説明会にも参加いただき、その場で感じた改善点などを提案してほしいとお願いしました。
Kさんからは、出展ブースの装飾や説明会での対応方法など、面接までの次のステップに繋げるポイントについて具体的に提案いただき、すぐに実践することにしました。
毎週のオンラインミーティングでは採用担当の社員も参加し、広報動画作成など社内一体となって取組を実施することにしました。
-副業・兼業人材活用にあたり、工夫したことや心がけていたことがあれば教えてください。
最初は、外部の人と仕事をすることに抵抗がある社員もいましたが、小さな成功体験を積み重ねることで、Kさんのおかげで良い変化が起きていることを実感してもらえるように、すぐに実践できるものはその場で実践するなど、できることから取組を進めました。
また、社員だけに任せるのではなく、Kさんと一緒に合同企業説明会に参加するなど、社員の意識が変わるきっかけとして、自ら率先して取り組むように心がけていました。
-実際に副業・兼業人材を活用されて、変化や成果はありましたか?
合同企業説明会の現場ですぐに実践できる具体的なアドバイスをしていただけたことで、他社との差別化を図ることができました。ブース訪問者数も増加するなど手応えを感じるようになり、新卒学生の採用にも繋がったと思います。
また、採用活動に活気が出てきたことにより、採用活動に関わる社員の成長意欲が向上したと思います。社員から「現場の課題解決に向けた会議をしたい」と提案があり、Kさんには、採用活動だけでなく、社員向けの研修も依頼するなど、人事部長的な立場で活躍いただいています。
-最後に、副業・兼業人材を活用した感想をお聞かせください。
副業・兼業人材を活用することは、最初はどのような方が来るのかわからないということもあり、勇気が必要だと思いますが、実際に依頼してみると、第三者の視点から見た自社の魅力を再発見できたり、新しい気づきを得るいい機会になると思います。
また、会社の方向性を考える上で、冷静に評価いただける相談相手がいることは非常に心強いなと感じています。
今後も、業務改善や営業力強化など、自社が抱えている課題について、専門スキルを持つ方の力をお借りして、問題解決に取り組んでいきたいと思います。
KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]
経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。
KIZASHI 番外編「2022 副業・兼業人材活用事例集 - 身近な事例から学ぶ 人材と企業の新しい『関わり方』-」
昨今の中小企業経営においては、新事業・新商品開発、新たな販売チャネルの獲得、IT・DX化、事業承継等の様々な経営課題について、社内で対応できる人材を確保しているケースは少なく、専門人材の確保が急務です。
その中で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によるリモートワークの進展や大企業による副業の解禁等が、大企業の従業員やフリーランス等の働き方に新たな選択肢をもたらし、中小企業における副業・兼業人材活用の機運が高まっています。
そこで当局では、2023年5月にKIZASHI 番外編「2022 副業・兼業人材活用事例集 - 身近な事例から学ぶ 人材と企業の新しい『関わり方』-」を公表し、副業・兼業人材を活用した先進的な11の取り組みをご紹介しています。
https://www.kansai.meti.go.jp/2sangyokikaku/2022jirei.pdf