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いつでもどこでも居場所の分かる世界一の位置情報プラットフォーマーへ(株式会社Phindex Technologies)

株式会社Phindex Technologiesは、屋内用測位技術の研究開発を通じて、製造現場のDX化の後押しに挑むスタートアップです。

株式会社Phindex Technologies
設立 2019年
所在地 大阪府吹田市千里山東3丁目10番1号 関西大学イノベーション創生センター210号室
#屋内測位 #日米特許 #関西大学発ベンチャー

屋内測位技術プラットフォームの構築

株式会社Phindex Technologiesは、屋内用測位技術の研究開発とそれに関連するソフトウェアの設計、製造、販売を行っています。我が国でも工場のDX(デジタルトランスフォーメーション)が推し進められている中で、屋内の人やモノの位置情報を高精度でかつリアルタイムで把握することが求められています。

そうした需要を受けて同社は、関西大学の自己組織化メカニズムを応用した経済性と有用性を兼ね備える屋内用測位技術をクラウドシステム化しました。個人が身に付ける小型デバイスと位置情報利用システムを組み合わせ、いつでもどこでも居場所の分かる位置情報プラットフォームの展開を進めています。

今回は同社の代表取締役社長、北之馬貴正さんにお話を伺いました。

株式会社Phindex Technologies 代表取締役 北之馬貴正さん

低コスト・高精度の測位技術

位置情報測位サービスでよく使用されているのはGPSですが、屋内では電波が減衰し、精度が下がります。また、Wi-Fiやビーコン、マイクロ波など様々な屋内用測位技術がある中で、関西大学の自己組織化移動無線ノード位置測定技術(日米特許取得済み)を用いた屋内測位プラットフォーム「Phindex Finder」は、低コストかつ高い精度が強みです。

例えば、従来のシステムであれば、定点に設置したビーコンを基準に電波強度から位置を推定し測位するため、大量の設備が必要となります。しかし、同社のシステムは、定点測位設備と個別デバイスのネットワークの隣接関係から位置を推定するため、最小3点の定点ビーコンによって測位が可能になります。
細かな配線等も不要のため、設備準備を開始してから1時間程度で測位を開始することが可能な他、初期投資費用やランニングコストも抑えられます。

2018年に関西大学内の教室空間にて実施された測位実験では、定点測位設備3台と47台のデバイスで実験を行い、2m弱の誤差で測位ができることが実証されました。これは屋内測位の中でも精度が高く、同社の強みの一つとなっています。

2021年には国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する「SBIR推進プログラム」に同社は採択され、研究開発を一層推進しています。

あらゆる業種との連携でシナジー効果を

2021年には建築DX展にて、インフラ整備や無線LAN事業を行う古野電気株式会社と連携し、同社の技術が展示されました。金融機関から測位技術を探している企業があるという紹介を受けたのがきっかけです。展示会においては、同社の屋内測位システムでタグの位置をアプリ上で確認することのできるデモンストレーションを行いました。

同社が目指す位置情報の活用イメージ

今後は、工場や建設現場などでの生産管理システムや、病院や倉庫での物品管理及び動線最適化などの位置情報を利用したアプリケーション開発に加え、個人用デバイス等のハードウェア開発についても他企業と連携をし、社会実装に向けて取組を推進していきます。

製造現場のDX化の後押しを

我が国においても製造現場へのDX・ロボットの導入は今後さらに進んでいきます。「これからの時代、人とロボットが共生する社会になっていくには、位置情報による双方のコミュニケーションが不可欠である」と北之馬さんは語ります。

同社の技術でわずかな設備から人の位置、生産ライン、部品等を把握し、その情報を基にロボットを動かすことができれば、さらに高い生産性が見込めます。ロボットとの共生社会を目指し、豊かなニューノーマル社会を実現するべく、同社は活動を進めていきます。


KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。
年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。

2022年12月に発表された「KIZASHI vol.19 『社会課題解決とともに成長する企業 – シリーズ:2025の先に待つ未来を描く 02 -』」では、社会の様々な課題を解決し、人々が快適に暮らすことができる社会を創ろうと奮闘する企業を特集しています。