独自技術「パイナップル乳酸桿菌培養液」を使用した美容液「アナナス美容水」(プランドゥシー・メディカル株式会社)
プランドゥシー ・メディカル株式会社は代表取締役の服部優親さんが医療機器卸売業として創業後、健康食品や医薬品部外品及び化粧品等の製造・販売やOEMへ事業を拡大しました。
パイナップルの未利用部と沖縄自生の花から生まれた100%植物由来の美容水
同社の化粧品「アナナス美容水」は、産学官連携による独自技術で開発した「パイナップル乳酸桿菌培養液」と「パイナップルを蒸留して得られた水分」を使用した精製水不使用の100%植物由来の美容液です。
「パイナップル乳酸桿菌培養液」は、パイナップルの果芯部や外皮等の廃棄部分の残渣(ざんさ)を、サガリバナ由来の乳酸菌で培養したもので、パイナップル酵素による肌の柔軟効果及びサガリバナ由来の乳酸菌の働きによる美白効果が期待されています。
同様の効果が期待される馬や豚を原材料とする動物性プラセンタエキスに匹敵、または一部の効能においては数倍との研究結果もあります。
サガリバナ由来の乳酸菌が植物性プラセンタ研究の転換点に
プラセンタエキスは、美容効果への期待から健康食品や化粧品等に使用されていますが、一部の消費者には「動物性」を理由に使用への抵抗感を示される方もいました。
そこで、服部さんは抵抗感の払拭への期待から、植物由来の「植物性プラセンタ」を使用した製品開発を考えていたところ、プラセンタエキスの仕入れ先のホスミン栄養化学工業株式会社の代表取締役へ就任したことをきっかけに、「植物性プラセンタ」の開発を決意しました。
「植物性プラセンタ」は、植物の種に含まれるめしべの一部の「胎座」から抽出されるエキスですが、製法等は不明で手探りの研究が続きました。
そんな中、沖縄に自生する“一夜限りで咲く南国の花”という神秘的なストーリーを持つサガリバナに由来する乳酸菌が、プラセンタエキスに匹敵する美容効果を持つことに魅力を感じました。
そこで、同社は同乳酸菌を培養していた琉球大学から乳酸菌の入手機会を得て、コスト面及び材料の安定的確保の観点から検討を重ね、果芯部や外皮等の未利用部が多く、缶詰材料として国内に広く流通するパイナップルを使用した培養液の開発へ転換しました。
産官学連携の共同研究
「パイナップル乳酸桿菌培養液」は、同社と交流があり植物の繊維を酵素で分解する技術を持つ大阪府立大学(現大阪公立大学)及び、同社が研究開発拠点を置く、地方独立行政法人大阪産業技術研究所森之宮センターとの産学官連携の共同研究により誕生しました。
大阪産業技術研究所森之宮センターのレンタルラボへの研究開発拠点の設置は、利便性や経済性のほか、機器の使用や技術相談等のサポート面でのメリットから判断したもので、今回の研究ではサガリバナ由来の乳酸菌の管理を担いました。
また原材料のパイナップル未利用部は、現在、株式会社ドールが展開する「もったいないフルーツプロジェクト(※)」への参加を通じて調達しています。
パイナップルで社会課題の解決に貢献する
手探りで始まった開発を通じて得た様々な経験により、同社は事業を通じた社会の課題解決に取り組んでいます。
「アナナス美容水」はサステナブルを徹底的に意識して、パッケージにベジタブルインクで印刷した再生紙を、ボトルにはバイオマス素材を使用しています。また、将来はそれらの製品を、海外の開発途上にあるパイナップル生産地へ寄贈したいと考えています。
また、パイナップルを蒸留する加工過程で得られる粉末に含まれている食物繊維やビタミンをはじめとした栄養に着目し、食品化に向けた研究を進めており、栄養補給や食料不足の解決に役立てたいとも考えています。
同社は、パイナップルの研究を深化させて様々なポテンシャルを突き止め、パイナップルの余すことのない活用による社会課題の解決への挑戦を続けていくことでしょう。
KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]
経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。
2023年11月に発表された「KIZASHI vol.23『公設試との連携のもと躍進する企業』編」では、公設試の活用をきっかけに躍進している、食品加工や医療機器、金属加工など幅広い業種の中小企業等11社を特集しています。
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