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新たな視点によるビジネスモデルの分析で、自社の強みを発見!(株式会社たびぞう)

電動バイクなどで城崎温泉街やその周辺地域を散策するプラン「城崎ぷちたび」を提供する株式会社たびぞう

コロナ禍を機に生まれたオリジナルサービスを分析するため、副業人材を活用して自社の強みを見える化し、事業拡大に成功した大林社長にお話を聞きました。

株式会社たびぞう
設立 2019年
資本金 600万円
従業員数 6名
業種 観光業
所在地 兵庫県豊岡市戸牧539番地の8
#ビジネスモデル分析 #副業人材 #兼業人材 #外部人材 #身近な事例から学ぶ副業兼業人材活用


株式会社たびぞうの副業・兼業人材活用について

-副業・兼業人材を活用したきっかけについて教えてください。 

2019年に起業した当初、ちょうどコロナ禍で売上げがゼロになりました。この危機的状況に立ち向かうため、「城崎ぷちたび」という新たな観光サービスを開始しました。

新サービスを始めてから順調に利用客も増えていった一方で、今後の継続的な成長を目指す上で、自社の新サービスは「何が強みなのか」「どのようにノウハウを守っていけばよいのか」を分析できておらず、一度立ち止まって整理する必要があると感じていました。

そんな中、普段からお付き合いのある豊岡市商工会の方から、「副業・兼業人材を活用してみてはどうか」と提案していただきました。信頼している経営支援機関の方からのアドバイスだったこともあり、是非活用してみたいと思いました。

-どのような人材を求めていましたか?

私は「とにかく行動してみる」というタイプなので、違うタイプの人がいいなと思っていました。

そして、ひょうご産業活性化センターが開催している「大企業連携プロジェクト」というイベントに参加した際、後に副業・兼業人材となる奥野さんと出会いました。

このイベントでは何人かの副業・兼業人材の方と一緒に自社の経営課題について議論するのですが、奥野さんは、自分と異なる視点で物事を捉え、的確なアドバイスをいただいたのが印象的でした。

-新サービスの分析について、どのように進めていきましたか?

奥野さんには、月1回現場を訪問してもらいながらプロジェクトを進めています。

はじめは、新サービスについてのビジネスモデルの分析をお願いしました。社内会議への参加や、実際にお客さんとやりとりしている現場への訪問を通して、徹底的に自社を分析してもらいました。奥野さんがつくる議事録はすばらしく、論理的なアドバイスをくださるので助かりました。 

今はそれ以外にも、奥野さんのスキルを活かして、新人教育やトラブル対応のマニュアル作りにもアドバイスをいただいています。

ちょっとしたことでも気軽に相談できる存在です。

打ち合わせの様子

-副業・兼業人材活用にあたり、工夫したことや心がけていたことがあれば教えてください。

自社が提供しているのはオリジナルのサービスだったので、まずは現場を見てほしいという思いが強くありました。

サービス内容、お客さんと接している場面、城崎の街並みまで実際にすべて見てもらうことで、しっかりと分析してもらうことができたと思います。

そして、今回の取組には、私自身の考えだけではなく、現場で働く社員の考えも反映していかなければならないと思いました。

そこで、副業人材に業務を依頼する段階から、現場のマネージャーにも一緒に参加してもらいました。そうすることで、社員と副業人材との信頼関係が生まれたのではないかと思います。

また、私と副業人材とで意見が異なることもありましたが、現場を見て提案してくれる奥野さんの意見は、前向きに受け入れることができました。むしろ、違う視点でアドバイスをくれる人材を求めていたので有り難かったです。

実際のお客様の写真

-実際に副業・兼業人材を活用されて、変化や成果はありましたか?

最も大きな成果は、やはり自社のビジネスモデルを分析できたことです。

自社の強みは、単なる商品提供(電動バイクなどのレンタル)ではありませんでした。むしろ、レンタル前に「オリジナルマップを用いて社員がコース説明を行う時間」にこそ最大の価値があることに気づきました。

利用客の興味やニーズにあわせて説明を変えることにより、旅の体験が特別な思い出になるような仕掛けがあります。そのノウハウこそが我々の強みだったのです。今回分析したことは、2022年に伊勢に事業を拡大した際にも役立ちました。

他にも、社員がプロジェクトに積極的に参加して意見出しを行ってくれるなどの社員の意識変化もありました。

自社オリジナルの”ぷちたびマップ”

-最後に、副業・兼業人材を活用した感想をお聞かせください。

今回の取組を通して、“着手すべきだがついつい後回しになってしまっていた課題”を解決できました。

また、自社は小規模の会社なので、社長と社員の距離が近く考え方も似てしまいがちです。そこに、外部の人材が新たな視点を持って入ってくれることにより、社内を見つめ直し、イノベーションが起きるきっかけとなりました。

副業・兼業人材の声
普段は品質管理の技術者として、製造業現場の分析等の仕事をしています。今回、同社の「城崎ぷちたび」というオリジナルサービスを知り、代表の大林氏の想いに共感しました。ぜひ、自分の現場を分析するスキルを用いて、同社を支援したいと思いました。

今回の取組を通して、自分の支援領域が製造業以外にも広がったことを実感しています。「自分のスキルを再定義してもらえた」という成果がありました。
(奥野さん/技術士(金属部門))

奥野さん

KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。

KIZASHI 番外編「2022 副業・兼業人材活用事例集 - 身近な事例から学ぶ 人材と企業の新しい『関わり方』-」

昨今の中小企業経営においては、新事業・新商品開発、新たな販売チャネルの獲得、IT・DX化、事業承継等の様々な経営課題について、社内で対応できる人材を確保しているケースは少なく、専門人材の確保が急務です。

その中で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によるリモートワークの進展や大企業による副業の解禁等が、大企業の従業員やフリーランス等の働き方に新たな選択肢をもたらし、中小企業における副業・兼業人材活用の機運が高まっています。

そこで当局では、2023年5月にKIZASHI 番外編「2022 副業・兼業人材活用事例集 - 身近な事例から学ぶ 人材と企業の新しい『関わり方』-」を公表し、副業・兼業人材を活用した先進的な11の取り組みをご紹介しています。

https://www.kansai.meti.go.jp/2sangyokikaku/2022jirei.pdf