こんにゃくで社会を健康に(中尾食品工業株式会社)
中尾食品工業株式会社は、1927年創業の堺市で唯一こんにゃく・ところてん等の製造・販売を行う企業です。
中尾食品工業の笑顔あふれる取り組み
4代目となる中尾友彦さんは、他社での経験を経て2013年に25歳の若さで社長に就任しました。
『伝統と創造を持って笑顔あふれる人生に貢献する』という企業理念のもと、市場開拓、フードロス対策として地元でのこんにゃく直売会『NAKAO MARCHE』の開催及び無人直売所設置など、次々に新たな取り組みに挑戦しています。
従業員一丸となり安心安全の提供にむけて
こうした新たな挑戦を進める一方で、過去に発生したミスを2度と繰り返さないためにも、同社は食品製造業にとって最も重要となる衛生管理体制作りにも注力しています。
食品衛生管理の国際標準であるHACCPの手法を製造ラインに導入し、衛生管理の面で特に注意が必要な工程には、小規模企業ながら品質保証室の監視専任のチームを配置。
また監査役を定期的にローテーションするようにしました。
このような実践を通じ相互に学び合える機会の構築は、社員の育成にも貢献しています。
「新感覚のこんにゃく」誕生秘話
2021年に販売を開始した機能性特化型ローカロリーこんにゃくヌードル「Training Noodle」シリーズは、プロテインや鉄分などを添加し、これまでにない付加価値の高い商品として話題となり、現在までに約350万円(約14000食)を売り上げる大ヒット商品となりました。
しかし、ヒットの裏にはもちろん失敗もありました。
新しい形のこんにゃくを販売したいという想いで「こんにゃくスムージー」の店舗展開を始めましたが、異業種のビジネスモデルを理解していなかったことから、事業は軌道に乗らず撤退。
この経験から、中尾さんはメーカーである同社の価値は「製造現場」から生まれることを再認識し、工場長などと試作を繰り返して、より一層商品開発に注力しました。
そんな中、堺市が実施する「デザイン経営」の事業に参加して、デザイナーと共同で新商品開発を開始しました。
理念を突き詰め、強みである品質保証力や製造現場の人材力を基に、社の新たなブランドコンセプトを織り込んだ新商品 「Training Noodle」の開発に成功したのです。
中尾食品工業が描く今後の展望
中尾さんは今後の展開として3点を挙げます。
1点目は「こんにゃくと言えば中尾食品」となるような取組を目指しています。
その取組の1つとして、自社でこんにゃく芋から栽培する、6次産業(※)化を始めました。
原材料の栽培から製造販売まで一貫することで、ブランディングの強化を図っています。
2点目は、「海外展開」の加速化です。
世界的トレンドとなりつつある「ヴィーガン志向」の層に、同社のオーガニックこんにゃく商品が刺さると考えており、まずは北米をターゲットに展開を進めて行きます。
3点目は、企業ミッションでもある「こんにゃくで社会を健康にする会社」を一層体現していくことです。
食用のみならず、こんにゃくの弾力性を活用して医師の手術手技の向上に利用する模擬臓器の開発にも着手しています。
世界にこんにゃくで健康と笑顔を届ける同社の今後の挑戦にも目が離せません。
KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]
経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。