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動く建築:Archipelagoで人の暮らしを変える(屋根裏株式会社)

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。
年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。

2022年10月に発表された「KIZASHI vol.18 『8 future technologies in Kansai – シリーズ:2025の先に待つ未来を描く 01 -』」では、非線形的な未来を掲げ、様々なアイデアとテクノロジーの力で未来を描き、実現に向けて挑戦する変革者を特集しています。

その中でも、ブロック型の動く住宅「Archipelago」の開発・展開で、人の暮らしを変えることを目指すのが、屋根裏株式会社です。

屋根裏株式会社
設立 2016年2月
資本金 4,950万円
従業員数 3名
所在地 大阪府泉大津市東雲町1-35
#100年後の家と暮らし #Archipelago #"動く"建築

空間の再利用で100年続く未来の建築を

屋根裏株式会社は大阪を中心に、建築設計、インテリア・プロダクトデザインを行う会社です。目の前のお客様を建築デザインを通じて、幸せにすることに取り組む一方で、100年先の未来の暮らしを自ら描き、まるでおもちゃのブロックのように必要な時だけ組み合わせ、並べることができるブロック型の住宅「Archipelago」の開発に取り組んでいます。

建築をオーダーメイドから「プロダクト」へ

「日本の住宅は高すぎる。建築の技術は100年前と変わっていない」と代表の寺田雅史さんは思いを語っています。そんな寺田さんの思いから建築をアップデートするアイデアの実現に着手し、従来のクライアントのオーダーに合わせる建築から、建築のプロダクト化=量産化を考え始めました。

そして、量産に適した新たな建築「Archipelago」により、ローコストな住宅を実現しました。また建築を自動車のように工場で生産することで、トライアンドエラーを繰り返し、更なるローコストへの挑戦を行っています。

豊中のシェアハウス

動く建築で新しいライフスタイルの創造

「Archipelago」のユニットの大きさは約6m×2.4m(8.5畳)で統一されています。ユニットは電化製品や自動車のように国内の専用工場で大量生産し、1つのユニットをトラックで輸送できるコンテナサイズに合わせたことで、輸送コストの削減も可能にしました。

ローコストである一方、重量鉄骨を使った建築として、建築確認申請についても認証済み、基礎などの建築構造も専門家と設計を行っています。また、施工の面においてはユニットをジョイントさせるだけという簡単な設計にしており、熟練の職人でなくとも高品質な施工精度の実現に成功。安心安全の面でも全く問題のない建築です。

もう1つの大きな特徴が「動く建築」ということです。自分で好きなレイアウトにできるだけでなく、家族の増減といったライフサイクルに合わせてユニットを増やしたり、減らしたりといったアレンジが簡単に可能です。

家族が増えればユニットを追加購入し、将来的に部屋が余ればユニットを部分的に売却することもできる。「建築は動かないもの」という固定概念を打ち破り、新しい建築の在り方を提示しています。

豊中のシェアハウス

人口の増減にあわせて増減できる空間を

同社がArchipelagoに取り組んだきっかけは、住宅のローコスト化だけではありません。少子高齢化により人口減少が加速する日本において、大きな社会問題となっている「空き家」や、家屋を解体した際に発生する産業廃棄物「解体ゴミ」といった問題への挑戦です。

空き家は引越等で人が移動した際に不動産が動かないから発生するものです。逆転の発想で、人の移動にあわせて建築自体も一緒に移動させることができれば 、空き家は当然発生しないし、家屋を解体する必要もありません。

「人口の増減と共に空間も増減する」というこの発想は、代表者が大学在籍時にゼミの卒業制作として取り組んだものがベースとなっています。当時は「できる訳がない」と夢物語のように思われていた発想でしたが、優秀な構造家エンジニアと出会い開発された「動く建築:Archipelago」によって、実現可能なところまできています。

駐車場の上の空間を有効活用することができる 「Archipelago-Air」

屋根裏株式会社は「『動く建築』は社会を変えることができる」との想いを胸に、日本だけではなく海外への展開を目指し、世界中の様々な社会課題の解決に挑み続けていきます。

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