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100年続く環境インフラ企業を目指して。世の中の課題を解決=“兆し”を見つめて流れに乗り、技術力で社会に貢献し続ける─(株式会社日吉)

琵琶湖のある滋賀県近江八幡市に株式会社日吉はあります。特に、環境という壮大なテーマにおいて、世の中の”兆し”を見つめて、時代の流れに乗りながら、その変化を敏感に感じ取り、ビジネスにつなげてきました。

まもなく70周年を迎える同社から、その背景にある理念、そして100年企業を目指して挑む未来の姿に迫りました。

株式会社日吉
設立   1958年
資本金  2,000万円
従業員数 349名
業種   環境サービス事業
所在地  滋賀県近江八幡市北之庄町908番地
#地域未来牽引企業 #兆し #環境


日本の環境への意識変化とともに取り組んで70年

株式会社日吉は1955年に創業しました。時代は戦後復興から高度経済成長の中、日本の人口も大きく右肩上がりで増える時代。まさに社会の課題は「衛生」であり、同社もごみやし尿の収集の仕事から環境保全の仕事が始まりました。
 
その後、時代の流れの中で環境への社会課題・関心は、公害から環境、生態、共生とすすむにつれ、国もそのための法律・制度を整えてきました。
 
同社もそのような環境に関する社会課題の変化の流れを受けながら、科学的知見に基づく確かな技術力を高めてきました。そのフィールドは廃棄物収集などの「環境保全」に留まらず、水質や大気など環境試料、食品などの「分析検査」、浄水場や上下水道処理施設などインフラ施設の「維持管理」、水処理施設などで利用する「工業薬品の販売」に広がり、「はかる・みる・まもる」の日吉のフィールドはどんどん大きくなっています。

日吉の事業フィールド

「法律」こそが世の中の流れ

株式会社日吉の社是は「社会立社・技術立社」。会社は社会に貢献しなければ存続できない、またそれを支える技術を持って初めて社会に貢献できるという考え方です。

そんな同社の企業理念も、社会の問題や課題の解決のためにつくられる法律の中にある仕事を事業化すること自体が「社会貢献」だと考えているので、「法律の中に仕事はある。世の中の兆しを見つめて流れに乗る」という理念なんだ、と村田社長は語ります。

株式会社日吉 代表取締役社長 村田 弘司さん

社是と理念からわかるように、世の中の流れから“兆し”を掴み、実際に社会課題解決の事業を展開していくためにはそれを実現する「技術」が不可欠です。
 
そのため、同社では“兆し”に合わせて延べ2,000件以上の個人資格や96件の事業許認可を取得しています。時代の潮流を逃さず社会課題解決に取り組むことで、結果として、右肩上がりの成長を続けてきました。こうして持続的に事業を行うことが社会を支える=社会貢献に繋がっていると考えます。

環境法令と日吉の成長率(2023年3月時点)

「環境問題に国境なし」日吉がてがける国際貢献

世界48カ国、1,042名。これは、1989年から同社が受け入れた研修生の実績です。
きっかけは滋賀県と中国湖南省との姉妹都市提携、そこから「環境問題に国境なし」という国際化の基本理念のもと、研修生の受入れや講師・技術者の派遣、JICAの事業協力など幅広く進めています。

海外研修生受け入れ実績(2023年4月時点)

また、2007年からは「世界一の人口を誇るインドの学生に環境への認識や知識を高めてもらい、技術を学んで環境保全に取り組んでほしい」という思いから、インドの現地学生を数ヶ月間招待するインターンシッププログラムも開始しています。
 
こうした取り組みは、結果、同社のその後の海外進出にも繋がりました。
これまでインドから多くの研修生やインターンシップ生を受け入れていたのですが、当時のインドはまだ環境に対する意識が日本ほど高くなく、日本で学んだ彼らが母国へ帰っても身につけた知識や技術を活かす場が無いことが大きな課題だと感じていました。

水質分析を行うインドの研修生

そこで2011年に同社初の海外子会社として、インド・チェンナイに「日吉インディア」を設立しました。

インド現地で環境面に関するコンサルティングや、施設維持管理や環境分析など日本と遜色ないサービスを提供することでインドでの環境意識の向上と日吉としてのビジネスチャンスの獲得とともに、日本で研修を受けた学生の雇用環境をつくるという、同社が研修生の受入の中で感じていた課題解決にもつながったのです。
今ではその中の一人が日吉インディアの取締役として活躍するまでになっています。
 
もともとはインドの環境保全への社会貢献から始めた活動ではあったものの、今後日本の労働人口減少が懸念される中で、これからは日吉インディアで養成された技術者の日本国内での活躍も視野に入ってくるなど、国内事業も含めた好循環が生まれているとともに、この循環をベトナムなど他エリアにもグローバルに展開していきたいと考えています。

「知恵」と「汗」で100年企業を目指していく

「満堂和気生嘉祥」──「皆が力を合わせて仕事に励めば、日吉は自ずと繁栄する」という、日吉のもう一つの社是であり、「仕事は決して1人ではできず、連携したチームプレイが大切である」という意味をもちます。
 
2025年の大阪・関西万博が開催される年に70周年を迎える同社は、持続可能な会社を目指すべく「日吉未来会議」を発足しています。
経営者だけでなく次世代の若手社員の意見を取り入れながら、「30年後の日吉のありたい姿」を共有し合うことができる場です。社員全員が一体となって「100年企業」の実現に向けて取り組み始めています。
 
そんな同社がより強く目指していくのは、「全ては“はかる”ことから始める」をモットーに、「次世代のアナリシス・コアラボ」という姿です。環境DNA技術(※)や水質分析のDX化などを進めると共に、次世代につながる新たな新規分析事業を行う環境づくりも整えていく予定です。

環境DNA
海・川・湖沼などの水に含まれるDNAを分析することで、生息する生物の種類や数を迅速かつ定量的に把握する手法。捕獲調査が困難な水域においても、生物相の把握と生態系の評価が可能となる。

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VUCA(※)と呼ばれる時代に突入し、社会の変革は大きくそして早く進むなか、それに伴い環境や社会の課題も途絶えることはありません。そんな社会において、株式会社日吉は100年後も社会に必要とされるインフラ企業であり続けるため、引き続き、世の中の”兆し”を見つめ、流れに乗ることを続けていくでしょう。

VUCA(ブーカ)
volatility(変動性)、uncertainty(不確実性)、complexity(複雑性)、ambiguity(曖昧性)の頭文字から。「ブカ」とも。変化が激しく複雑で、将来の予測が困難となった社会を表す語。

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KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。


地域未来牽引企業

地域内外の取引実態や雇用・売上高を勘案し、地域経済への影響力が大きく、成長性が見込まれるとともに、地域経済のバリューチェーンの中心的な担い手、および担い手候補である企業を、経済産業省では「地域未来牽引企業」として選定しています。


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