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誰もが楽しめるエンタメスポーツ!~パラスポーツからインクルーシブスポーツへ~(ミズノ株式会社×株式会社ワントゥーテン)

XRとは、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、MR(複合現実)といった、現実の物理空間と仮想空間を融合させて、新たな体験を創造する先端技術の総称です。

近年では、社会課題や地域課題を保有する企業等がXRコンテンツ制作企業とタッグを組み、試行錯誤しながらも解決に導こうとする動きが見られます。

本記事では、VRを活用してパラスポーツをエンタメスポーツに発展させようと奮闘する事例をご紹介します。


かっこいいパラスポーツ

東京の街中を颯爽と駆け抜ける光る車いす。
東京の観光地をスキャンして、未来を感じさせるモデリング加工をしたデジタル空間が、VRゴーグル越しにきらめく。
これは車いすレースのトップ選手のスピードを追体験できる、VRレースです。

開発したのは京都市にある株式会社ワントゥーテン
最先端のAI技術を駆使したサービス開発や、プロジェクションマッピング・XRを活用した数々のプロジェクトを展開しています。
ドバイ万博日本館」デジタルシフト施策の企画・製作なども行っていました。

株式会社ワントゥーテン
設立  :2009年
資本金 :253百万円
従業員数:103名
業種  :イノベーションコンサルティング、コンテンツプロデュース、
     テクノロジーソリューション開発
所在地 :京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町620番地COCON烏丸4階
#パラスポーツ #サイバースポーツ #コミュニティ形成のツール

ワントゥーテンのパラスポーツの取組「サイバースポーツプロジェクト」は、
内閣府主催「クールジャパン・マッチングアワード 2019」 準グランプリを獲得

同社は、東京オリンピック開催が決まった頃、パラスポーツの認識を「障がい者の競技」から「見に行きたい、エキサイティングなスポーツ」に変えたいと考えていました。

「体験したことがないことには興味を持てない、それがパラスポーツの普及が進まない要因では」と考え、障がいのない人も楽しめるエンターテインメントとして開発されたのがVRレースです。

VRゴーグル越しに東京の街並みの中を走ることができる

VRで東京の街並みに入り込み、上り坂では車輪を回す手が重くなり、リアルに近いレースを体験できます。
ただし、体験には専用の車いすや大型モニタ、操作モニタなどの設備が必要になるのがネックでした。

サイバーボッチャの開発 

そこで、もっと気軽に誰でも楽しめるスポーツとして開発されたのが「サイバーボッチャ」です。
もともとボッチャは障がい者のために考案され、ボールを投げたり転がしたりして「どれだけボールを的に近づけることができるか」を競います。
動作はシンプルでも、戦略が重要なスポーツで、障がいの有無や、年齢の差に関係なく楽しめるスポーツです。

ただし、ゲームをするためにはルールを理解している審判と、ボールまでの距離を測る人が必要で、それらを常に手配することは困難でした。
サイバーボッチャでは、ワントゥーテンの技術により、最先端のセンシングを活用してボールの位置や色を自動計測し、判定までできます。

モニターには試合状況とプレイヤーの様子を多彩な演出で映し出し、観客とともにゲームを楽しめるようにもしました。
大がかりな設備は不要で、レンタルも可能ですが、普及に向けては課題が残ります。
パラスポーツを盛り上げるためには一般市民や企業を巻き込むことが不可欠だからです。

地域スポーツ施設の利用者を増やしたい

一方、全国に180以上の体育施設を自治体からの委託で運営しているミズノ株式会社では、運動能力や年齢差にかかわらず楽しめるスポーツの導入を模索していました。

ミズノ株式会社
創業  :1906年
資本金 :261億3,700万円(2023年3月31日現在)
従業員数:3,421名(2023年3月31日現在・連結)
業種  :スポーツ用品の製造・販売、スポーツ施設の運営
所在地 :大阪市住之江区南港北1-12-35
#パラスポーツ #サイバースポーツ #コミュニティ形成のツール

将来の人口減を見据えると、運動に対する意識が高い層だけでは全体利用者も減ってしまいます。
そんな中、ワントゥーテンのサイバーボッチャと出会いました。

サイバーボッチャなら、運動に苦手意識がある層も参加がしやすく、実際に渋谷で開催したイベントでは子供からシニアまで2,000人以上が体験し大盛況でした。

ミズノが指定管理する東京・代官山の施設に常設し、今後も設置施設を増やす見込みです。

ミズノが運営する施設に導入されているサイバーボッチャ

インクルーシブな社会に寄与するスポーツに

両社は、バーチャルスタジオでのヨガレッスンも共同開発するなど、デジタルとフィジカルの融合は進みます。
パラスポーツの普及を目指してはじめたサイバースポーツプロジェクトですが、手軽に誰でも楽しめるスポーツは、社会のコミュニティ形成のツールとなる可能性を感じています。

「卓球台のように、自然と人が集って気軽にスポーツができて、コミュニティを作っていくアイテムになってほしい」と語る両社の取組は、インクルーシブな未来の一翼を担っています。


KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。

「KIZASHI」
https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/jirei/jireitop.html

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