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“Fit Your Needs”で「縁を留める」 ファスナーメーカー(SKO株式会社)

SKO株式会社は、ものづくりの街「大阪府八尾市」に拠点を置き、国内でも数少ないスライドファスナーメーカーとして、顧客から「SKOに頼めば安心」「SKOならどうにかしてくれる」という厚い信頼を得ている企業です。

https://sko-zipper.com/

SKO株式会社
設立 1995年
資本金 1,000万円
従業員数 41名
業種 製造業
所在地 大阪府八尾市南本町 8-4-32
#ファスナー #研究開発型 #対応力

日本で数社、陰で支えるファスナーメーカー

1970年創業の同社は、提携する台湾企業よりOEM生産したパーツを輸入して、最終的な後加工組立などを主に担っています。現在、代表を務める中川育信さんは、2010年に代表取締役社長に就任しました。

ファスナー業界はすこし特殊な構造をしています。
大手1社が9割以上のシェアをもち、同社を含む中小メーカー数社で残りのシェアを分け合う構造になっています。

また、取引先の業界は多岐にわたり、同社はアパレル以外のすべての業界が取引先です。特に、介護用品関係や自動車関係などが大きな取引先で、いずれも顧客との共同開発が多く、それぞれのニーズに合った高付加価値なオーダーメイド商品の開発・製造・販売を行ってきました。

同社で製造するファスナー

“Fit Your Needs”の理念、ホテルに負けない「対応力」

様々な業界の要望に対応するためには高い技術力も必要ですが、特殊なファスナー製造業界を生き残ってきた要因はそれだけではありません。

そこには同社の大きな強みの一つである「営業力・対応力」がありました。「Fit Your Needs」という経営理念を掲げ、取引先の要望を的確に捉え丁寧かつ全力で対応することで実現してきました。そうした姿勢と実績から取引先と高い信頼関係を築いています。

同社で製造するファスナー

また、販売先はリピート顧客が中心なので、さらに売上げを伸ばすためには新規顧客の開拓が不可欠になります。中川社長への事業承継後から、常務取締役の提案で、同社の高い営業力を保つために4ヶ月間みっちりと外部講師を招き人間力向上研修を行うなど、社員教育にも力を入れています。

中川さんは同社の強みについて、「超一流ホテルにも負けない対応力を目指している」と語ります。

研究開発型へ転換し、ファスナーの可能性を広げる

コロナの影響はそんな同社にも降り注ぎました。2021年~2022年は受注が減少し、創業以来、黒字経営だった同社にとって初めての経験と言えるほど経済的な打撃を受けました。

取り扱い製品のほとんどが、多品種少量生産で単価が低いため、コロナ禍のような不測の事態が発生すると、ダイレクトに売上高に影響が出てしまうこととなります。

このため、従前からのスタイルである顧客と共同での製品開発から、顧客ニーズを捉えた付加価値の高い製品を提供できる研究開発への転換と、市況に左右されない強い収益構造の構築が必須であることを認識しました。

そんな同社は事業再構築事業で、「ファスナーの研究開発型工場施設であらゆる分野の課題解決に貢献」というテーマで、新たに研究開発型工業施設を整備し、これまで進出した経験のない医療やインフラなどの分野に、新たな発想のファスナーを提供すべく事業展開に取り組んでいます。

新設した第4工場

顧客にも従業員にもフィットする、“SKO”の展望

同社の従業員は41人で、その6割以上をパート従業員が占めています。
製造現場で特に目立つのは、地元の主婦を中心とした女性パート従業員の活躍です。中には勤続年数が30年を超える方や、70代の方なども最前線の製造現場で活躍しています。

社内にはアットホームな風土が築かれており、中川社長も「正社員・パート職員は分け隔て無く、家族のような存在です」と話します。会社としても、コロナ前には年に3回のボーナスを出し、誕生日には手当を支給するなど、その活躍に応えてきました。

しかし、生産能力を超えた受注を断った苦い過去もあります。「従業員のワークライフバランスを考慮するとお断りせざるを得なかった」と当時を振り返り中川さんは語ります。

今後は、独自で新しい分野・商品の開発(事業再構築)を進めるとともに、製造キャパシティを拡大し、大量受注を受け入れたいと意気込みます。ファスナーの可能性を広げながら、顧客のニーズにフィットした商品を提供し続ける、同社の挑戦は止まりません。


KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。

2023年2月に発表された「KIZASHI vol.21 『事業再構築で動き出すそれぞれの未来』」では、「事業再構築補助金」を活用しながらコロナという大きな危機を超えるため、ありたい姿と未来に向けて挑戦する中小企業9社にインタビューを実施し、補助金だけではない成長に向けたヒントを特集しています。

https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/jirei/jirei21.html

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