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独自の技術から生まれる製品は無限大 機能性とデザイン性を両立したパーツ作り(カネエム工業株式会社)

靴の紐を通すための穴の補強や、アパレル用品のデザインの一部としても使用される「ハトメ」。このような「留める」金属パーツの製造とともに発展を続けるのが、カネエム工業株式会社です。

カネエム工業株式会社
設立 1947年
資本金 4,500万円
従業員数 43名
所在地 大阪府八尾市泉町1-93
#パーツの未来を作る  #機能性とデザイン性の両立 #工場×エンターテインメント

「留める」金属パーツの製造と発展 

靴の紐を通すための穴の補強や、アパレル用品のデザインの一部としても使用される「ハトメ」。大阪府八尾市にあるカネエム工業株式会社(以下「カネエム工業」)は、我々の日常生活に溶け込む小さなパーツ作りから出発しました。

1947年の創業当初は、3種類のハトメのみを製造していましたが、1970年代の若者のジーンズブームを契機に、当時の社長がジーンズリベット(※)の将来性を見込み、従来のリベット作りの技術ではなく、今ある自社の技術を活かして製造できないかと研究開発に着手。数年にわたる試行錯誤の末、従来品と比べて低コストかつ強度にも優れたジーンズリベットの大量生産に成功し、国内のジーンズ縫製工場のみならず、欧州各国を中心に爆発的な人気を博しました。

現在では、アパレル業界のみならず自動車業界や建設業界においても、副資材メーカーとして多種多様な製品を提供しています。

(※)ジーンズリベット:主にジーンズ(デニム)のポケット部分の隅に取り付けられている金属製のパーツ。ステッチ部分を補強する役割とデザイン性を向上させる役割がある。

フルオーダーのパーツ製作を可能にする技術力

従来のリベットは線材から加工するのに対し、カネエム工業では真ちゅうなどの板材から、複数の工程を連続で行う順送プレス加工によって成形します。この製法でのリベットの製造は当時、カネエム工業が世界に先駆けて開発したもので、従来の線材加工のものに比べて少ない工数で済むほか、生地の繋ぎ留めなどの機能面においても優れたモノとなっています。

順送プレス機

近年では、デザイン性に対するニーズも多様化しているとのことですが、カネエム工業は金型の製作から、プレス・組立・表面処理までの一貫体制で生産を行うため、顧客の要望にきめ細やかに応えることができます。代表取締役社長の島田さんによると、高品質のパーツをいかに安定して大量に作るかを追求することが、顧客との信頼関係を築く秘訣となっているといいます。

パーツ業界に新しさとエンターテインメントを

パーツ業界にもトレンドがあり、海外市場や顧客の要望からいち早く流行を取り入れ、商品へ反映させることが求められます。先代から積み重ねてきた技術力と、パーツ作りに対するこだわりを維持し、常に新しさを追い求めることこそ、カネエム工業の強みの1つです。

特に、塗装や表面処理加工においては、海外の同業他社の手法を参考に研究を重ね、約150種類の仕上げ色を展開しています。鍍金業者には再現できない微妙な色合いや、最新のニーズにも応えられる表面処理を行うことができます。

今後、自社の商品や技術力をさらに広めるために、パーツ業界にエンターテインメントの要素を取り入れたいと経営企画室長の北村さんは語ります。技術力以外の部分、すなわち「アイデア」と「営業力」に着目し、異色の組み合わせを工場に取り入れることで、幅広い認知の獲得と販路拡大を目指します。そのための土台として、InstagramやYouTubeといった各SNSでの広報に注力し、オープンファクトリー等のイベントにも積極的に参加しています。

幅広い製品に利用されるハトメ

また、北村さんによるとデザイン性の高い金属パーツを開発できる強みを活かして、音楽やボードゲーム関連等のエンターテインメント市場への参入も検討しているそうです。

副資材という性質を超えて、それだけでブランド化して売ることができないかを考え、日々試行錯誤を繰り返す同社は、2022年で創業75周年を迎えました。今後はマーケティングにもさらなる磨きをかけ、パーツ業界に革新を起こすべく、新しさとエンターテインメントへの挑戦を続けます。

我々の日常生活に溶け込む小さなパーツの裏側には、パーツの未来を作る人々の想いと、世界に誇る繊細な技術が隠されているのです。


KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。

2023年1月に発表された「KIZASHI vol.20 『不変と可変 揺るぎない価値観、絶え間ない挑戦』」では、事業環境の変化を前向きに捉え、絶え間ない「挑戦」を続ける中小企業11社に対しインタビューを実施し、その「挑戦(可変)」の裏に宿る、揺るがない「価値観(不変)」を大切にしている姿を特集しています。

https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/jirei/jirei20.html

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