確かな加工技術”made in cleanseiko”が生みだす確かな品質(株式会社クリーン精光)
京都を中心に精密機器・装置の部品加工サプライヤーとして存在感をもつ企業が、株式会社クリーン精光です。
優れた加工技術と品質保証でソリューションを提案する
株式会社クリーン精光は、お客様のニーズに合わせた小ロット生産(※)をベースに精密加工技術と品質をもって、お客様の求めるソリューションの提案を行っています。また確かな加工技術「made in cleanseiko」を武器に、新たな取組として、医療機器の部品加工を行う医療機器事業への一層の参入を視野に入れています。
「この新規事業にあたり、今までの生産方法などの一新も考えている」と同社の常務取締役の東城 旭さんは語ります。
精密加工技術を医療機器産業向けにアップデートする
東城さんによると同社は、設計段階の開発支援からアルミ、ステンレス素材の精密加工、多様な表面処理などが得意分野です。また、対応部品サイズも手の指サイズの小物から長さ3000mmの長尺品まで広範囲をカバーします。同社が挑戦する医療機器部品は、より高度な加工の繊細さと寸法精度が要求されます。
そこで、同社が今日まで培ってきた技術を活かす余地があるのではないか、と東城さんは構想を描くとともに、早期の実現に向けて、経済産業省の事業再構築補助金を用いた新設備導入にも着手します。医療部品に要求される高精度の加工レベル達成に向け医療機器部品向けに適した5軸マシニングセンターを導入しました。
医療器機業界は新規参入が難しいと言われている中、同社は導入した機器を用いて既に数社と打錠機やiPS細胞検査装置の部品の納入実績も積んでいます。新規事業を立ち上げて間もない約1年での実績は、驚くべき成果と言えるでしょう。
デジタル時代におけるものづくりの生産システム
ものづくりは職人のようなその道のプロフェッショナルが担うというイメージが連想されます。これは同社も同様です。部品加工を行う企業として技術者が今まで確かな部品を生み出してきました。一方、昨今のものづくりはその全てにおいてより効率化要求が高まりデジタルを駆使することが必要な時代となりました。デジタル化の背景には、製造業の現場で進む人手不足問題の解消という狙いもあります。
東城さんはデジタルを用いた生産自動化について同社の一歩先の構想を示します。今までの生産(下図参照)では、加工工程にのみ自動化を採用していましたが、加工前後工程には人手が必要で非効率な状態でした。
そこで今後は、生産工程の上流部に人手をかけ、その後工程を自動化することで、効率化と人手不足の解消を志向します。この計画は、NEDOの補助事業として採択を受け、産官学連携による完全自動化・無人化技術の開発が進んでいます。一方、課題もあります。完全自動化技術に用いるプログラムの構築及び実装した状態で具現化することです。「2023年夏を目処に完全自動技術の実装を進めたい」と東城さんは目標を掲げています。
また、ものづくりの完全自動切削プログラムは今日広く普及してきましたが比較的アルミ素材の加工に特化する傾向に留まっています。クライアントからのニーズが高まるステンレス素材にも対応できるプログラムの開発にも注力したいと考えます。
1社だけではなしえない課題解決に向け、協力会社と連携した共同開発を目指し、実装化に向けて取り組む同社の挑戦は、必ずや、ものづくりの技術の更なる前進に貢献することとなるでしょう。
KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]
経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。
https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/jirei/jireitop.html
2023年1月に発表された「KIZASHI vol.20 『不変と可変 揺るぎない価値観、絶え間ない挑戦』」では、事業環境の変化を前向きに捉え、絶え間ない「挑戦」を続ける中小企業11社に対しインタビューを実施し、その「挑戦(可変)」の裏に宿る、揺るがない「価値観(不変)」を大切にしている姿を特集しています。
https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/jirei/jirei20.html