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人と人の“出会い”と“体験”をつなぐ(akippa株式会社)
フェスやライブ参戦、スポーツ観戦やお祭り、学校行事、有名観光地など、どこかへ移動する時に駐車場が見つからなくて周辺を探し回る…車を利用される方はそんな経験を一度はしたことがあるのではないでしょうか。
そんな「世の中の困りごと」を解決するため、akippa(アキッパ)株式会社は2014年に駐車場のシェアリングサービスを始め、今年でサービス開始11年目を迎えます。
akippa株式会社
創業 :2009年2月2日
資本金 :20億円(資本準備金含む)
従業員数:66名(2024年12月時点)
業種 :駐車場シェアリングサービス業
所在地 :大阪府大阪市浪速区難波中2-10-70 なんばパークスタワー 14階
#駐車場シェア #相互尊敬 #なくてはならぬ #リアルで出会う感動 #幸せ
「“なくてはならぬ”をつくる」企業
出身地である大阪で起業した社長の金谷元気さんは、当初駐車場のシェアリングサービスではなく携帯電話の法人向け営業代行を行っていました。
起業後、まだ経営的に厳しい状況が続いていたある日、住んでいた家の電気代を滞納して電気を止められた経験から、電気というものの必要性を強く実感しました。
この時の体験から「電気のように世の中になくてはならないものをつくる」ことを決意し、「“なくてはならぬ”をつくる」を企業のミッションとしました。
駐車場シェアリングサービス『アキッパ』の誕生
「なくてはならぬ」とは、「なければ世の中が困る」ということ。つまり「“なくてはならぬ”をつくる」とは、「世の中の困りごとを解決すること」であると考え、当時在籍していた社員から日常生活での困りごとを募集しました。
その中からある社員が書いた「駐車場は現地に行かなければ空いているかわからない」という困りごとと、金谷さん自身も経験された「空き駐車場が見つけにくい」という経験や市場調査の結果から後に社名にもなる駐車場のシェアリングサービス「アキッパ」(※)を始めました。
※ 駐車場シェアリングサービス『アキッパ』
個人宅やマンション、事業所などの空きスペースを活用して、ネットで予約して駐車でき、誰でも簡単に駐車場をシェアできるサービス。
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『人』そのものが事業
人を大切にする経営
「アキッパ」というサービスが生まれる前、経営的に厳しい状況が続いている中でも、金谷さんは当時一緒に働いていた社員をファミリーとして捉え、誰一人として解雇しないと決意して、時には借金をしてでも給料を支払い、雇用を続けました。
そこには人が事業をつくる、という金谷さんの想いがあります。
「社員自身も苦しい中で、辞めずに在籍してくれている。共に苦難を乗り越えた先で素晴らしいサービスをつくることができる。」という想いを持って人を大切にする経営を続けてこられました。
「人と人」として向き合う関係性
人を大切にする同社では、「社長対社員」や「社員対社員」という役職で向き合うのではなく、『「人と人」として向き合う関係性』を心掛けています。
「たとえ退職しても、人と人の繋がりが消えるわけではない。人として向き合っているから退職後も気軽に近況を話せる間柄になっている元社員も多くいる。」と金谷さんは言います。
実際に、退職後も人として向き合い続けたことで、一度退職した人が外でスキルを磨いてから再度同社に戻ってくることも多くあり、例えば夫婦で再入社するなど、アルムナイ採用(※)で入社する社員も多く在籍しています。
※ アルムナイ採用
過去に在籍していた社員を自社の貴重な人的資源と捉えて継続的にネットワークを築き、そのなかの人材を再雇用する採用方法。
また、採用活動において、金谷さんは「自分よりも優秀な人材を採用する」という合言葉で実施しています。それは、「社長よりも優秀な人材しか採用しない」ということではなく、優秀な人材には敬意をもって接し、かつ優秀な人材に負けないようにという社長の心構えです。
会社として高いスキルを目指すためには、社長である金谷さんを含め社員同士が、後述のホスピタリティ・カルチャーの一つである「相互尊敬」の中で学んでいくことが重要だと考えています。
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akippaのホスピタリティ・カルチャー
人への想いを大切にする金谷さんは、「想いを社員へ伝えるためには言語化することが大切だ。」と言います。
そこで、金谷さんはこの考えをホスピタリティ・カルチャーとして定義し、「相互尊敬」「謙虚さ」「性善説」の3つを明示しています。
・相互尊敬
それぞれの長所や得意に素直に「すごい!」と認め合うこと。
・謙虚さ
失敗や間違いがあっても、それを認め反省し、次に生かして成長できる人であること。
・性善説
人の本質は”善”であること。この性善説の考え方に立って行動できる人であること。
「実際に入社してから会社と合わなかったと感じることがないよう、全員が幸せになるように、私の最終面接ではカルチャーフィットを重視しています。そのため、入社をした人が社内の人間関係で困ることはほとんどありません。」と金谷さんは言います。
更に、人事評価の際にも成果評価だけでなく、例えば失敗を他人のせいにしないといったホスピタリティ・カルチャーに沿った行動ができているかを評価に組み込むなど、ホスピタリティ・カルチャーが社員の中に根付く仕組みが構築されております。
この仕組みにより、誰もが本音で意見を言って行動でき、社内に心理的安全性が生まれ、例えば金谷さんも気付かないうちに育休制度が改善されていたり、誰もが制度を利用しやすいように役員自らが率先して育休制度を利用したり、役職に関わらず誰でも気軽に休めるようにジョブローテーション等を活用して業務が属人化しない工夫を社員が導入したりといった行動に繋がっています。
このように風通しが良くお互いを尊重するカルチャーが築かれています。
関わる人みんなを大切にする相互尊敬
中でも、相手の長所を尊敬し認め合うことで信頼を築く「相互尊敬」のカルチャーは、社内だけでなく社外にまで広がっています。
同社が駐車場サービスを始めて間もなく、資金力などの優位性を持った大手駐車場事業者が競合として参入してきて、スタートアップ企業である同社にとって危機的な状況に陥りました。
しかし、金谷さんはこれに対して弱気になることはなく、むしろ市場を盛り上げるためには他社と互いに切磋琢磨しあう必要があると考え、まずは顔の見える関係づくりから始めました。
大手駐車場事業者からは、初めはライバルとして認識されていましたが、共に売上を増やし市場を盛り上げてくれる喜びを粘り強く伝え続けた結果、お互いのサービスを高め合える関係を築くことができました。その根底には「根気強く泥臭い営業を積み重ねてきたakippaが負けるわけがないと自負があった。」と金谷さんは言います。
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「相互尊敬」のカルチャーを他社にも実践しつつ、これまで以上に営業活動に力を入れるため駐車場開拓の代理店を全国展開していきました。
その結果、現在は47都道府県全てにアキッパの駐車場があり、予約できる駐車場は常時4万5000件以上を確保しています。
また、この他社への「相互尊敬」の動きは、ライバルだった大企業が駐車場サービスから撤退をする際に、それまで確保していた駐車場を譲り受けることができ、現在も良好な関係を保ち、連携事業を展開するなど、事業全体にポジティブな影響を与えています。
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世界一のakippaが良い世の中へとつながる
akippaでは、今後の目標として、2026年に駐車場拠点数世界No.1、2029年に駐車場車室数世界No.1を掲げています。
世界一を目標に掲げる背景には、akippaが世界No.1になることが目的ではなく、世の中の困りごとを解決するakippaが世界No.1になれば世の中が良くなるという熱い想いがあります。
また、運転手不足によるバス路線廃止などが深刻化する中でも、人と出会う機会を創り出していくため、2033年にEV(電気自動車)の充電器を駐車場に設置し、さらにそこに自動運転のEVを設置するという目標も掲げており、駐車場の提供だけでなく移動そのものを提供するサービスへと進化を遂げていきます。
リアルで出会う感動と幸せを未来へ
お話を伺う中で、金谷さんからは何度も「幸せ」という言葉が出てきました。
そんな金谷さんを始め、akippaは『リアルの“あいたい”を世界中でつなぐ』未来を描いています。
デジタル技術が発達して、どこでも誰とでも繋がれるようになり、コロナ禍を経てさらにオンラインによるコミュニケーションが加速しています。リアルで出会える人ともバーチャルでの出会いにすり替わっていく世の中になりつつありますが、同社では「リアルで人と会う」ことを大切にして、誰もが好きな体験ができて幸せな思い出をつくれるように、人と人の繋がりが絶えない世の中づくりを目指しています。
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「アキッパは、駐車場を利用するユーザー・駐車場を提供するオーナー・そしてユーザーとオーナーをつなぐアキッパの全員が利益を得る三方良しの幸せなサービス」と話す金谷さん。
人と出会う感動を繋ぎ続けた先に見える、誰もが幸せに暮らせる世の中。人と人、人と体験、人と世界を繋ぐため、akippaは今日も前進し続けます。
KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]
近畿経済産業局では、年間1,000件以上にも及ぶ企業・団体を訪問し、企業の変革のための挑戦を捉え、2025・2030年の先、将来を見据えた変化の「兆」として紹介するために、「KIZASHI [関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆(きざし)]」として、作成、公表しています。
https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/jirei/jireitop.html