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淡路島で輝く、「試作品製造」のプロフェッショナル(株式会社三和製作所)

高精度の加工と素早い対応力で様々な分野の試作開発品を製造、ものづくり各社の研究開発を応援する企業が、兵庫県の淡路島にある株式会社三和製作所です。

株式会社三和製作所
設立 1951年
資本金 5,738万円
従業員数 90名
業種 金属加工業
所在地 兵庫県淡路市志筑2570-2
#試作品 #ものづくり人材 #淡路島

「スピード」と「高品質」で様々な業界の試作品を製造

株式会社三和製作所は、工業用ミシンの製造を本業として1932年に大阪で創業しました。事業拡大に伴って、町中での操業が難しくなったことから、淡路島に拠点を移しました。

1960年半ばから工業用ミシン以外にも進出をはじめました。油圧機器用部品への進出を皮切りに、精密機械、鉄道関連部品、自動車関連試作品などへ進出し、多角化戦略を展開しています。「事業の柱を複数設け、どこかに集中しないようにしている」といい、業種を分けたリスクヘッジに取り組んでいます。

一部製品の量産対応も行っていますが、主な事業の中心は「試作」です。
回転数の高い工作機器や高精度の検査機器を多く導入し、小ロット・短納期で取引先のニーズに対応しています。
そんな試作業務では、とにかく「スピード」が重要になるので、様々な業界のニーズにも高い品質を保ちつつ、即座に対応できる確かな技術力と機動性を培ってきました。
結果として、現在は名だたる企業との取引実績を有するようになりました。

精密な切削加工

コロナ禍の影響と創業100周年から先を見据えた事業再構築 

そんな同社にとって新型コロナの影響はとても大きなものでした。
2019年と比較すると2020年の売上げは数割減少しました。特に、柱の一つである鉄道関係は世界的に事業環境が悪化して、同社も大きな打撃を受けた結果、休業を選択した時期もあったそうです。

このような危機を乗り越え、三和製作所として更に強靭な事業体制を確立すべく、「事業再構築事業」を通じて挑戦するのは「電動車用モータコアの試作」です。

コロナ禍以前から、強みとしている「スピード」に加え、本事業を通じて、他社に先駆けて加工ノウハウを蓄積することが可能と見込みます。市場が拡大する際に、競争優位を築いておくことが狙いです。

さらに目指すべき姿は、納期(デリバリー)や価格優位(コスト)だけでなく、自社で蓄積した技術力とノウハウの積極発信で顧客を獲得していく「技術提案型企業」です。

2030年には創業から100周年を迎える同社ですが、以降20年、30年先の未来を見据え、自社だけではなく地域の幸せを実現するための事業基盤を固めていきます。事業再構築事業を着実に進めることは、その大きな一歩となります。

次代を担う「人づくり」 ものづくり人材が輝ける場を

「人づくり」は会社の成長のために必要不可欠です。
同社はこの数年間で20人以上と多くの地元高校生が就職しました。更に社員の平均年齢は約38歳と非常に若く活発な社風です。

「国道沿いに面した、高台の好立地だから」と担当者はお話しますが、果たしてそれだけなのでしょうか。人口減少社会に突入する中で、新たな社員を確保することは並大抵のことではありません。

その秘訣は、同社の「人材育成」に鍵がありました。

男女・文理問わず「ものづくり」の現場で活躍できる組織作りを進めつつ、
若手社員が事業を引っ張る風土といった組織設計や風土改革、また、自律的な人材を育成するため、自習用のための「図書購入制度」や、毎月行っている社内表彰者に一定の報酬をだす「改善提案制度」など、特徴的な制度や取組が、同社の人材獲得に大きく貢献しているのかもしれません。

現場で働く社員の方々

また、スピードが求められる試作品製造においては、コミュニケーションの重要性は非常に高くなります。
そのためにも、「社内の繋がりやエンゲージメントを高めることが必要。他方、心理的ハードルを下げるだけの取り組みは育成・教育にはならない」と担当の方は語ります。

小さい規模の事業者において、本業が忙しい状況下でどのように教育を行い、生産性向上を図っていくのか、その難しさを感じながらも試行錯誤を続け、よりよい組織・よりよい人づくりに邁進しています。

淡路島でさらに輝く『三和製作所』へ

コロナ禍や事業再構築を通じて、自社の強み・弱みを再確認し、設備投資だけでなく人材育成からの生産性向上を図っていくことの重要性を改めて感じた同社。

様々な業界を支えるプロフェッショナルとして、さらなるチャレンジを続けながら「淡路島の三和製作所」として、この地域でさらに輝いていきます。



KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。
年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。

2023年2月に発表された「KIZASHI vol.21 『事業再構築で動き出すそれぞれの未来』」では、「事業再構築補助金」を活用しながらコロナという大きな危機を超えるため、ありたい姿と未来に向けて挑戦する中小企業9社にインタビューを実施し、補助金だけではない成長に向けたヒントを特集しています。

https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/jirei/jirei21.html