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既存設備にプラスワン、電力測定からGXを実現!(株式会社SIRC)

株式会社SIRCは「SIRCデバイス」を活用して、ものづくり現場におけるアナログ業務のDXやカーボンニュートラルに向けた脱炭素DXのソリューションなどを提供するスタートアップです。
そんな同社が今後目指す姿について、代表の髙橋真理子さんにお話を伺いました。

株式会社SIRC
設立  :2015年​
資本金 :13.8億円(資本余剰金含む)​
従業員数:34名​
業種  :SIRCデバイスを活用した製品開発および販売等
所在地 :大阪府大阪市中央区久太郎町2丁目5番31号本町寺田ビルディング
#電力を正確に見える化 #DXで省エネルギー #アナログ機器もDX化


小さく、簡単に、正確に、電力を測定する

「SIRCデバイス」は、5mm角のチップでありながら、電流、電力、角度、周波数変換(抽出)のセンシング(感知機能)と情報処理を行うことができるマルチタスクデバイスです。

そんな優れたデバイスを活用した製品開発と販売、そしてDXソリューションの提供を行う大阪市立大学(現 大阪公立大学)発のスタートアップ企業が株式会社SIRCです。

同社では、この「SIRCデバイス」を活用することで、「地球環境」に配慮しつつ、「人」や「経済」の成長にもつながる「Win-Win-Win社会」の構築を目指しています。

工事不要・15秒で取り付けるだけ!消費電力からCO₂排出量の把握と削減検証が可能に​

​カーボンニュートラルに向けた取組の中でも、業務や製造などの運用改善によって節電につながる省エネは、少ない投資でCO₂排出量を削減できる点で費用対効果が高い方策です。企業の方がまずカーボンニュートラルを推進するにあたっては、優先度の高い取組といえるでしょう。

そのための一手目として、現状のCO₂排出量を把握するためには、事業所の使用電力の総量に排出量係数を乗じて案分することで、現時点のCO₂排出量を算出するケースが多いのが実情です。

しかし、CO₂排出量を削減するためには、製造装置や製造ライン毎といった個別具体的な使用電力量の把握、そしてその変動を見える化することで、具体的な省エネ取組の検討や節電効果の検証方法を考えて、正確に数値を把握することが重要です。

同社は、この点に着目しました。
「SIRCデバイス」を活用した「IoT電力センサユニット」を用いることで、実際に測った値で電力を測定することができるようになり、より精緻な脱炭素DXソリューションを提供しています。

IoT電力センサユニットの接続方法

このIoT電力センサユニットは、工事不要でたった15秒で簡単に取り付けられることも大きな特徴です。そのため、個々の製造装置や製造ライン毎に取り付けて実測値での測定ができるほか、力率(※1)変動も加味した有効電力が測定できるため、より挑戦的な削減目標に対しても、正確な消費電力データで対応することができます。

※1: 力率
供給された電力のうち何%が有効に働いたかを示す値。
電力量は、電圧×電流×力率で算出されるが、力率を固定値として算出する電力計が多い。

また、このセンサを用いて機械や設備がどのような状態にあるかを把握することにより、消費電力の秒単位、分単位での細かい変動も見える化することが可能です。結果、製造ライン等における生産工程の組み直しや、工程条件の見直し、装置の異常検出などにも活用することができます。

なお、センシング(感知機能)した電力データは同社のクラウドシステムで自動グラフ化やCO₂排出量換算ができ、電力削減の効果の検証が容易に行えるという特長もあります。

代表取締役CEO 髙橋 真理子さん

製品単位のCO₂排出量把握が、取引先への信頼向上に繋がる  ​

​同センサユニットは、測定の正確さと取り付けの簡単さを強みとして、脱炭素に向けて高い目標を掲げている大企業との協業や、これから脱炭素に取り組んでいこうとする中小企業への導入が進んでいます。また、これらの取組が、企業の取引継続や新規顧客の獲得にも大きく貢献する可能性も秘めており、同社との更なる連携に期待を寄せられています。

「当社は2030年にCO₂排出量50%削減(2019年度比)を目標に掲げ、エネルギー費用・使用量の低減活動を進めています。これまで配置が難しかった生産設備の制御盤内にSIRCのIoT電力センサユニットを設置し、リアルタイムで電力を見える化することで、省エネルギー推進活動を加速させ目標達成を目指しています」

トヨタ紡績株式会社 ご担当者

「取引先から、自社にCO₂排出量の把握や削減取組の協力依頼がある中で、コスト面や人材不足といった課題を抱えていましたが、製造装置や製造ライン毎に同センサユニットを設置することで、製品一個あたりの電力使用量とCO₂排出量が簡単に把握でき、より正確な情報を取引先に報告することができました」

ユーザー企業 ご担当者
IoT電力センサの設置例

「正確に」測ることが当たり前の将来に備えて

今後、SIRCは「正確に」測ることが当たり前の将来に備えています。

時代の潮流として、企業活動に対して、より厳しい脱炭素に向けた情報開示が要求されればされるほど、正確にCO₂排出量を把握するニーズは増えることが予想されます。

その他にも、エネルギーの需要サイドと供給サイドに設けられているアナログ機器にSIRCデバイスを組み込むことで、簡単にアナログ機器がDX化されます。結果として、遠隔操作によるエネルギーマネジメントに応用もできるなど、脱炭素DXソリューションは、同社の主軸事業の一つとなる可能性があります。

また、脱炭素だけでなく、労働人口の減少という課題にも日本は直面しています。

そのためにも、モノづくり現場に必要なデジタル化を簡単に実現するアナログDXソリューションや、老朽化するインフラの適時検知、保守メンテを実現するインフラDXソリューションの提供についても、段階的かつ並行的に取り組んでいます。

同社が描く未来は、モノづくり現場の脱炭素と競争力強化の両立を目指すGXに貢献していく世界であり、その挑戦は続きます。


KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。

https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/jirei/jireitop.html


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