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播磨から世界を驚かせるAmazing Company(佐藤精機株式会社)

2020年末に小惑星探査機「はやぶさ2」のカプセルが地球に帰還し、試料(持ち帰った物質)の分析が進められています。試料は、地球の物質や空気などの影響を受けないように、超真空状態を保ちながら移動させたり、分析する必要があります。
そんな宇宙探査活動を支える輸送用真空容器を、ミクロン単位の超高精度加工技術によって製造するのが、兵庫県姫路市にある佐藤精機株式会社です。

佐藤精機株式会社
設立 1972年
資本金 1,800万円
従業員数 46名
業種 輸送用機械器具製造業
所在地 兵庫県姫路市余部区下余部240-6
#高付加価値・多分野・多品種少量生産 #リアル下町ロケット #播磨愛

JAXAも頼る技術をもった、兵庫・播磨のものづくり企業

佐藤精機株式会社は、1955年に佐藤鉄工所として創業した後、1972年に法人組織に移行を果たしました。新たについた「精機」の名前に秘められたのは、難しいものづくりに挑み続けるという決意表明でした。

創業以来、量産品ではなく、小ロットで再現性の少ない試作開発品などを積極的に手がける戦略を貫き続けています。結果として、蓄積した知見と実績が評価され、今や、航空・宇宙、自動車、半導体、建設機械などの多種多様な業種で、国内外の名だたる顧客と直接取引を行うようになりました。

大気遮断型輸送容器FFTC

新型コロナ禍での苦境、そして決断

同社はこれまで高い技術力を活かし、新製品開発に向けた試作開発品や、通常の仕様と異なる特注品などのリピート性の少ない製品作りを得意としてきました。

しかし、こうした案件はその新規性や特殊性から、お客様とのリアルでの打合せや立会いによる検査、細かな進捗確認が不可欠です。そのような仕事の進め方もあって、同社もコロナ禍の影響を大きく受け、仕事の進捗が停滞、新規案件も激減しました。

超高速鉄道用部品製造という未知なるチャレンジ

そうした苦境の中で、岐路に立った同社は、新たな挑戦に舵を切りました。「事業再構築補助金」を活用し、新たに最新技術の粋とも言える国家プロジェクトのひとつである超高速鉄道用部品製造への新規参入を目指すことを決めたのです。

同社にとっては未知数で、経験のない形状、それに伴う材料加工を含んだまったく新しい案件でした。設備投資をすれば良いだけではなく、品質保証やプロセス、トレーサビリティ、情報管理などのマネジメントといった様々な課題をクリアする必要がありました。

一方で、これまで主流だった試作開発品とは異なり、顧客から指定されたスペックに基づき製造するため、度重なる現場でのリアルな調整ややりとりが発生しづらいこと。また、一度取引先に認定され受注を獲得すれば、長期にわたり安定的な売り上げが見通せると見込み、チャレンジを決断しました。

自社と地域(兵庫・播磨)の未来を見据える

同社はチャレンジの先に目指すべき姿(to be)として、地方発信の「Amazing Company」を掲げます。

播磨から世界を支える佐藤精機(株)の社員の皆さま

佐藤社長は「地方の中小企業でも、国内外の大企業やベンチャーにも認められるくらい、こんなに技術力と話題性をもった高付加価値なものが作れるのだということを示したい。そして、それが魅力となり、地方に志を持つ人材を呼び込み、また、他の会社の刺激にもなってくれれば。そうすれば、地方が活性化し、彩りのあるものになる」と語ります。

同社は、地域の大学や高等専門学校等と連携した実習生の受入れや教育現場への講師の派遣、また、同社がテクニカルセンターを構える兵庫県たつの市への子育て支援の寄付等、播磨地域の活性化にも力を入れています。

さらに、良い人材に働き続けてもらうため、介護や育児をする社員に在宅勤務や時短勤務、パートとしての再雇用を認め、高度な学歴や職歴、知識を持つ外国人を採用する等、ダイバーシティ経営にも注力しています。

自社とそこで働く社員、そして地元である播磨地域を愛する心やイノベーターを目指す経営姿勢で、地域を牽引し、国内のみならず世界規模で挑戦を続ける同社の未来は、今後もますます期待されるでしょう。


KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。

2023年2月に発表された「KIZASHI vol.21 『事業再構築で動き出すそれぞれの未来』」では、「事業再構築補助金」を活用しながらコロナという大きな危機を超えるため、ありたい姿と未来に向けて挑戦する中小企業9社にインタビューを実施し、補助金だけではない成長に向けたヒントを特集しています。

https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/jirei/jirei21.html


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