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老舗同士の共同開発から誕生した新感覚の蜂蜜酒(1/2)(株式会社やまと蜂蜜)

シロップや濃縮飲料等の個包装ポーションパック製造のリーディング企業、株式会社やまと蜂蜜は、1945年に養蜂業として創業しました。

設立   1968年(創業1965年)
資本金  8,500万円
従業員数 65名
業種   シロップや濃縮飲料等のポーションパック製造
     はちみつの採取・生産・販売
所在地  奈良市田中町324
#食事に合う蜂蜜酒 #食品・飲料加工 #清酒酵母
#奈良県産業振興総合センター #公設試との連携のもと躍進する企業


養蜂業から濃縮飲料等のポーションパック製造のリーディング企業へ

同社は1975年にシロップポーションパック充填事業へ参入し、食文化の変化に伴い大手食品問屋や大手珈琲メーカー及び外食産業等のOEMを手掛けるようになりました。
また、充填する液体も液体調味料や濃縮飲料、アルコール飲料等へ拡大するなど、ポーションパック製造は同社の主力事業へ成長しました。

偶然見つけた公設試の技術シーズで、蜂蜜から新しい企業価値の創造を目指す

同社代表取締役の鳥居さんは、代表取締役の就任前から、新たな企業価値に匹敵するような新規事業を祖業の養蜂事業から誕生させたいとの思いを持っており、ヒントを求めて奈良県産業振興総合センター(以下、同センター)を訪問しました。
そこで目に留まった同センターの蜂蜜酒の開発に関する研究発表資料が、まさに鳥居さんのイメージに合致したものであったため、蜂蜜酒開発の着手を決意しました。

地元老舗蔵元、公設試との3者による新感覚の蜂蜜酒の開発

発酵には清酒酵母を使用するため、日本酒メーカーの協力は不可欠でした。それまで交流はありませんでしたが、近隣に所在する奈良県を代表する日本酒の蔵元の1つ、奈良豊澤酒造株式会社へ共通の知人を介して企画を打診したところ了承が得られ、同センターと3者による念願の共同開発に着手しました。

蜂蜜酒の共同開発について、奈良豊澤酒造株式会社の記事はこちら

蜂蜜酒は、水で希釈した蜂蜜に酵母を加え発酵させた人類最古の酒で「ミード」とも呼ばれています。
共同開発では、既存のミードとの差別化のため、色、風味、味の目標を設定し、ふさわしい製法を模索しました。

採取する花によって異なる蜂蜜の種類や、蜂蜜の希釈度、また、発酵条件等、数多くの醸造条件の組み合わせを試行錯誤しましたが、目標達成が困難で妥協を考えたこともありました。
しかし、同センターは商品化を目指す開発当初の同社の思いを実現するため、アドバイスや提案を繰り返し行いました。

その結果、同社は一般的には食前酒として飲まれる蜂蜜酒を食事中に楽しめるものとして完成させ、2023年4月に販売を開始しました。
明るい金色でアルコール度数は既存のミードの約半分の6%です。また、蜂蜜の風味を残しながら甘すぎず、チーズや燻製と好相性です。

今後、奈良県が運営するアンテナショップ等での販売も計画されています。

共同開発した蜂蜜酒

他社の姿勢を学び、新プロジェクト「Meets Products」が始動

共同開発の経験は同社の次のステップアップに繋がりました。
特に、多くの日本酒ファンを満足させる高いレベルの醸造技術や、製品への強いこだわり等、奈良豊澤酒造株式会社のものづくりへの情熱と姿勢に接したことは、同社にとって大きな刺激となりました

また、同社では蜂蜜を用いた飲料製造を第2の事業の柱に成長させるべく、外部資源との組み合わせで新しい価値を生み出していく社内プロジェクト「Meets Products」が発足しました。

交配用のミツバチの貸出先の苺農家から譲り受けた規格外の奈良のブランド苺「古都華」を原料としたプレミアムリキュールの開発をはじめ、奈良県の様々な地域資源を積極的に活用することにも取り組んでいます。

同社は、様々な企業との交流を通じて蜂蜜に新たな価値を見出し、企業価値をさらに高めていきます。

公設試担当者のコメント
当センターが開発したはちみつ酒の研究報告から、いかにオリジナリティを創出するかについて、2社が新しいはちみつ酒に期待するイメージや色、味、飲酒する場面や適した料理等を明確化し最終目標を共有すべく、3者でコミュニケーションを重ね、何度も試験発酵を行いました。
また、技術面では、オリジナリティを出すための原料変更による発酵不足など、従来の清酒醸造技術では解決できない課題について、意見交換を牽引するなど、開発の推進役を担い、納得のいくはちみつ酒が完成しました。
(奈良県産業振興総合センター)


KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。

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