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低温排熱を捨てずに有効利用、熱電発電からGXを実現!(株式会社Eサーモジェンテック)

温度差から電力を生み出す熱電発電という技術があります。
その普及を図り、エネルギーの効率的な利用を促進することにより、SDGsの達成と、持続可能な社会の構築への貢献を目指しているのが、株式会社Eサーモジェンテックです。

大阪大学と京都大学にR&D拠点を設けて、産学連携で研究開発を進めている同社代表の岡嶋道生さんにお話を伺いました。

代表取締役 岡嶋 道生さん

株式会社Eサーモジェンテック
設立  :2013年​
資本金 :1億円​
従業員数:30名​
業種  :製造業
所在地 :京都市南区東九条下殿田町13九条CIDビル102
#低温排熱も貴重なエネルギー #モジュール設計開発  
#熱電発電でMW級以上も夢じゃない


捨てられていた熱からエネルギーを取り出す

株式会社Eサーモジェンテックは半導体事業における豊富な経験と、熱電発電(※1)に関する独自技術を基に、地球上に莫大に存在しつつも活用の難しい低温排熱(300℃程度以下)を、効率よく電気エネルギーに変換し回収する熱電発電事業を展開する、京都の研究開発スタートアップ企業である。

※1:熱電発電
排熱源につけるモジュールの両端に温度差をつけることで発電する技術。

同社は、温度差から電力を生み出す熱電発電の普及を図り、エネルギーの効率的な利用を促進することにより、SDGsの達成と、持続可能な社会の構築への貢献を目指しています。

曲がる熱電発電モジュール「フレキーナⓇ」の実用化

莫大な排熱が地球上で排出されているが、その75%以上が300℃ 以下の「低温排熱」です。
しかし「低温排熱」はエネルギーが低く発電に活用することが難しく、多くがそのまま捨てられているのが現状です。

そこで、同社はこの膨大な「低温排熱」から、世界で初めて、顧客満足度を満たすコスト性能比で電気エネルギー回収が可能な熱電発電技術の開発・事業化に成功しました。
同技術に搭載するフレキシブル熱電発電モジュール「フレキーナⓇ 」 は、国内、海外の特許を取得している独自の製品です。

「フレキーナⓇ 」は、既存BiTe系熱電素子をフレキシブル基板に実装した構造のため、配管等の円筒状熱源に対して密着性が良く、従来の曲がらないセラミック基板の発電モジュールに比べ、熱回収効率が高いという特長を持ちます。
また、「低温排熱」の回収は、需要が莫大なことから、半導体事業と同様に量産効果による大幅な低コスト化と高信頼性化が見込むことができます。

このように、高い熱回収率と低コストを両立する「フレキーナⓇ 」によって、初めて実用的なコスト性能比での社会実装を可能にする熱電発電技術が実現しました。

温水や蒸気、排気など多様な排熱源に対応

プラントや製造現場等では、省人化を進めるために遠隔監視のニーズが多いものの、一般的にIoTセンサーは電池駆動であり、センサーの取り付け数も多くなることから、電池の取替え作業が大きな負担となっていました。

一方、同社の自立電源を搭載したIoTセンサーは、設置先のモーターや電熱機器の排熱で発電することで駆動し、センシングとデータ送信が絶えず可能となります。
これにより電池の取替え作業が不要となるため、多くの大手メーカーから引き合いを受けています。

また、屋外用ローカル電源のニーズに対しては、温水排熱から電力を生み出す自立電源システムの開発も行っています。
温排水と空冷の温度差のみで数10W級の発電が可能なため、例えば、地熱発電所や温泉などの山間部・プラント等で、監視カメラや照明・通信システムなどが必要となる場合に、電線敷設費・冷却水の配管敷設費等のコストをかけずに機器を駆動させることができます。

さらにはNEDO事業でkW級の電力を生み出す自立電源システムの開発にも取り組んでおり、独自構造の熱電発電熱交換チューブを用いて余剰蒸気から高効率な発電を実現できる自立電源や、独自の集熱コア構造の発電ユニットを用いて、ダクト等の排気熱から大電力を生み出す自立電源の開発にも成功しました。

「フレキーナⓇ 」を搭載した排熱利用自立電源「S1-Pシリーズ」(NEDO助成事業の成果)
「フレキーナⓇ 」を搭載した水蒸気排熱利用独自二重管構造自立電源
「S2-Wシリーズ」(NEDO助成事業の成果)

このように、化石燃料由来の電力に依らない自立電源システムで、カーボンニュートラルの実現を目指しています。

MW以上の熱電発電に挑戦し、エネルギーの地産地消に貢献

同社は独自の熱電発電技術による効果的なエネルギー利用の促進と持続可能な社会の構築を目指し、足下では、事業再構築補助金を活用して品質検査用機器を調達し、現在テスト販売しているIoT用自立電源システムの量産化に向け準備を進めています。

加えて、上述のkW級での熱電発電にとどまることなく、これらを連結したMW級以上の発電に向けた研究開発を続けています。

将来的には、工場廃熱を利用した「フレキーナⓇ 」による分散型自立電源システムを構築して、地産地消型エネルギーマネジメントシステムにも貢献していきたいと考えています。

同社と思いを同じくする多くの企業、大学と共同研究中であり、現在も、大手のエネルギー関連企業やメーカーからの出資や事業提携の引き合いが多く、同社の技術への注目度は日々高まっています。

G7大阪・堺貿易大臣会合にて

KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。

https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/jirei/jireitop.html


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