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日用プラ製品を置き換え DACプラからGXを実現!(株式会社ベホマル)

株式会社ベホマルはバイオマスCO₂吸収材の開発・製造・販売を行う滋賀県に所在するスタートアップ企業です。
立命館大学のインキュベーターに拠点を構え、産学共同で研究を進める同社の代表取締役社長の西原麻友子さんに話を伺いました。

代表取締役社長 西原 麻友子さん

株式会社ベホマル
設立  :2022年
資本金 :750万円
従業員数:2名
業種  :バイオマスCO₂吸収材の開発、製造販売
所在地 :滋賀県草津市野路東1-1-1
     立命館大学BKCインキュベータ201号室
#日常に溶け込むDACプラ #素材で勝負
#CO ₂を吸収して当たり前の世界へ


日常生活の視点で地球温暖化に立ち向かう

同社の樹脂添加材をプラスチックに混ぜることで、大気中からCO₂を吸収するDAC(※1)プラ製品に変えることが可能となります。

※1:DAC
Direct Air Captureの略。
大気中にあるCO₂を直接回収する技術。

近年、世間の環境への意識が高まる反面、消費者や事業者からは、具体的にはどのように行動すれば良いか分からないという声も多く、できるだけ手軽に取り組めるきっかけにしたいとの思いから同製品を開発しました。

身近なところからDACプラ製品を普及させていくことで、日常生活のありとあらゆるところでCO₂を回収し、集めたCO₂を様々な形で再利用する「ユビキタスCO₂回収社会」の構築を目指しています。

DACプラのイメージ

DAC技術の勝ち筋を素材に見いだす

同社の強みは、CO₂吸収材を安定的に量産できる技術と、特許技術でもある吸収材の配合です。
脱炭素に向けてCO₂の排出量を実質ゼロにするための技術としてDAC技術が注目を集め、様々な装置の開発が行われていますが、同社の事業戦略のポイントは装置ではなく素材を開発しているところです。

CO₂吸収材

今後DACが普及し、装置産業化した場合でも、素材開発に優位性を築けば他社は容易に真似ができません。

また、素材であれば様々な物に組み込み応用を利かせることも可能です。
気候変動対策は企業が行うものだというイメージがありますが、素材であれば日用品に応用することで家庭でも手軽に気候変動対策に取り組むことができ、環境教育のツールとして期待できる点も同社ならではと言えます。

日常に溶け込むDACプラ 利用シーンの可能性は広い

同社の吸収材を添加したDACプラスチックは、常温でCO₂を吸着し、加熱することでCO₂を脱離する特性をもちます。
同社では、吸収材の製造以外に、協業先とDACプラ製品の企画を行いますが、CO₂の脱離に必要な排熱は日常生活にも多く存在するため、DACプラ製品の利用シーンは多様です。

例えば、食器であれば食器乾燥機の熱を利用でき、照明器具であれば電球の放熱を利用できます。
同様に、乾燥機付き洗濯機やドライヤー、製造の現場では製造装置自体も熱源になり得ます。

DACプラ製品で回収したCO₂の用途の一つとして、植物に与えて光合成を促進し、CO₂を循環させることを目指しています。
現在、立命館大学との共同研究では、製品製造から廃棄までの量産工程を想定したLCA評価(※2)について研究を進めており、CO₂の吸収効果の数値化を目指しています。

※2:LCA
Life Cycle Assessmentの略。
ある製品・サービスのライフサイクル全体又はその特定段階における環境負荷を定量的に評価する手法

回収装置イメージ(左)とCO₂吸収材(右)

スタートアップのスピード感でCO₂回収を一気に広める

DACプラの開発は、第8回滋賀テックグランプリで最優秀賞を含めトリプル受賞するなど、同社に対する期待はますます高まるばかりですが、西原さんは「プラスチックの性能に助けられている生活シーンは多い。プラスチックの全てを否定するのではなく上手く利用して、そして廃棄する最後まで環境に貢献するというコンセプトを広めていきたい」と述べ、常に未来を見据えています。

事業を行うにあたり、NPO法人等の形をとらずにスタートアップを選んだのも、CO₂吸収の動きを世の中にスピード感をもって一気に広げていきたいという思いからです。

現状は、ラボスケールで吸収材の製造を行い、一部の企業に提供し、その評価をもらっている段階でありますが、大企業や地元の中小企業などからの協業の問い合わせも増加しています。

今後も引き続き研究開発を進め、パートナー企業と連携しながら、「まだCO₂を吸っていないの?」と言われるくらい、CO₂の吸収が当たり前になる世の中を目指してこれからもGXに取り組んでいきます。


KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。

https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/jirei/jireitop.html

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