現状に満足せず「もう半歩」先へ ~毎日が展示会 京都LiQ~- 株式会社キャステム -(シリーズ:オープンファクトリー #9)
関西各地でオープンファクトリーを実施している企業様へのインタビューを通じ、どんな想いを込め取組を始めたのか、取組により企業や社員にどのような変化があったのか、オープンファクトリーの魅力を紹介するシリーズ:オープンファクトリー(バックナンバーはこちら↓)
最終回となる第9回は、株式会社キャステムさんをご紹介します。
社是は、もう半歩
株式会社キャステムは広島県福山市に所在するロストワックス精密鋳造(ロウを利用した鋳造方法の一種)や射出成形技術により鉄道・工作機械など様々な精密部品などを製造・販売している企業です。
株式会社キャステムHP
https://www.castem.co.jp/
同社の社是は「もう半歩」。常にもう半歩という意識で、顧客・世の中にさらに良いものを提供すべく、目標を高くおき、失敗を恐れぬ勇気を持って行動することを大切にしています。
そんな同社は、既存の鋳造技術からもう半歩、脱皮を図るべく2018年、3DプリンターやCTスキャンといったデジタル技術を中心に新事業を進める新拠点「京都LiQ(りきゅう)※」を立ち上げました。
アナログとデジタルの融合による付加価値創出を目指し、京都LiQで地域の人々にデジタル技術に触れてもらう取り組みを積極的に行ってきた石井さんにオープンファクトリーの魅力を伺いました。
積極的な情報発信で手繰り寄せた新たな出会い
京都には、伝統的な産業が多く残っており、それらが最新技術の3Dプリンターと結び付けば、今までにない面白い物がうまれるのでは、という狙いでスタートした京都LiQ。
まずは拠点を知ってもらい、来社を増やすことを目標に、同社の強みである高い鋳造技術を活かして製造したユニークなアイテムを路上から見えるスペースに配置しました。
また、メディアを活用したプロモーションやYouTubeチャンネルの立ち上げ、SNSでの情報発信を実施。口コミで評判が広がり、年間500件もの見学者が訪れるようになりました。
来場者は鋳造協会や大学教授、知り合いの中小企業の社長さん、個人の見学者まで様々です。
企業だけではなく個人の問い合わせも増え、鉄道模型の制作依頼など、新たな受注に繋がったといいます。
DESIGN WEEK KYOTOへの参加
こうした新たな繋がりの中で同社がチャレンジしたのが、京都府内の複数の地域で開催されている地域一体型オープンファクトリー「DESIGN WEEK KYOTO」への参加です。
DESIGN WEEK KYOTOでは、多種多様な企業と交流を繰り返すことで、京都の歴史に触れ、同社では思いも付かなかった新たな発想が生まれてきました。
中でも、ユニークなコラボが、京都市内で仏像の彫刻や修繕を行う土御門仏所と共同で製作した「ドローン仏」です。
これは、3Dプリンターで制作した仏像をドローンに乗せて飛ばすことで、臨終に際して阿弥陀如来がお迎えに来てくれる「来迎」を表現したものです。
様々なプロモーション活動や、DESIGN WEEK KYOTOを通じ、感度の高い人々が行き交い、引き寄せ会うハブとなった京都LiQ。
知り合った大学との連携により医療機器の製造を始めるなど、新規事業も着実に進行中です。
思ってもいないビジネスチャンスが舞い込む、それがオープンファクトリー
オープンファクトリーの魅力を伺うと、
と語ってくださった石井さん。
デジタルキャストから医療やアグリ分野まで多角的に事業展開をする同社の中で、オープンファクトリーで生まれた繋がりや発想を推進力に、どう半歩進むのか、京都LiQそしてキャステムのチャレンジに今後も注目です。
オープンファクトリーとは
オープンファクトリーとは、ものづくり企業が生産現場を外部に公開したり、来場者にものづくりを体験してもらう取組です。
取組を通じて新たな接点やコミュニケーションが生まれるだけでなく、社員の成長やモチベーションにもプラスの影響を与えるという点で、現在注目を浴びています。
近年では、企業単独の取組はもちろん、ものづくりに関わる中小企業や工芸品産地など産業が集積している地域を中心に、地域内の企業等が面として集まり、地域を一体的に見せていく「地域一体型オープンファクトリー」も全国で広がりを見せています。