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国産初の手術支援ロボット「hinotori™ サージカルロボットシステム」の開発(株式会社メディカロイド)

医師との対話を重ね、5年以上かけて日本人医師のニーズに合った国産初の手術用ロボット「hinotori™サージカルロボットシステム」を開発したことにより栄えある「第9回ものづくり日本大賞 内閣総理大臣賞」を受賞したのが、株式会社メディカロイド北辻さん、田中さん、北村さん、川端さん、笹森さん、太田さん、山守さんの7名です。

株式会社メディカロイド
設立 2013年
資本金 10,000万円
従業員数 141名
業種 医療用ロボットの開発・製造・販売
所在地 神戸市中央区港島南町1丁目6-5 国際医療開発センター6階
#国産初 #手術支援ロボット #遠隔治療 #ものづくり日本大賞

国産初、手術支援ロボットの開発

産業用ロボットの販売実績では日本メーカーが市場の約5割を占めています。他方、医療用ロボットはアメリカ製が市場を独占するなど、医療機器の輸入超過の大きな原因となっています。

日本でも大企業が手術支援ロボット開発を進めてきましたが、リスクが高いという理由で実用化に至りませんでした。

この医療用ロボット市場に風穴を開けたのが、株式会社メディカロイドの「hinotori™ サージカルロボットシステム」開発チームです。
同社は、日本人医師のニーズに合った〝国産〟の医療用ロボットの開発を目指し、医療機器や試薬メーカーのシスメックス(株)と産業用ロボットメーカーの川崎重工業(株)が、共同出資し2013年に設立しました。

そのような2社が協力しても国産初の手術支援ロボット開発までは様々な困難がありました。特に、ユーザーである医師の言葉を理解し、設計へ落とし込むのに苦労したと、当時を振り返り担当者は語ります。そのような中で、着手から約5年で、国内発の手術支援ロボット「hinotori™」の製造販売承認取得にこぎ着けたのです。

徹底的なユーザ目線と日本のものづくり

現在は開腹手術より、お腹にいくつか穴を開ける腹腔鏡手術が主流です。出血量も少なく、傷口も小さく、感染症リスクが低いといったメリットがありますが、手術に使う鉗子の動きに制約があるために医師の操作の自由度が低く、手術技術の習得には膨大な時間がかかるのが難点です。
この腹腔鏡手術の難しさを解決するのが手術支援ロボットなのです。

「hinotori™」の特徴は、ロボットに取り付けられたアームが人の腕と同様のサイズでコンパクトであること。医師の操作に基づきアームがまるで人間の腕のようになめらかに動くため、医師は、患者のお腹の中に手を入れて操作しているような感覚で手術を実施できます。また、アームがコンパクトであることにより、アームと助手の先生がぶつかって手術を止めることを防ぐことができるのです。さらに患者の腹部に大きな機器をつける必要がないため、助手の医師にとっても手術しやすく、手術準備や手術終了後のロボット撤去もスムーズに行えるのも特徴です。

手術支援ロボット hinotori™

物理的な設計面での優位性だけではありません。ロボットにはネットワーク機能が搭載されており、サービスプラットフォーム体制を構築し、24時間稼働状況をモニタリングしながら、トラブルがあればサポートが可能です。

また、ロボットの動きを3次元で再現でき、「神の手」と呼ばれる優れた医師の技の継承を視野に入れ、技術開発を進めています。

日本の未来を支える「hinotori™」へ

hinotori™は2020年12月の販売開始から2年間(2022年12月末時点)で既に31台が導入されており、2023年1月末時点での症例数は1,000を超えます。

また、当初は泌尿器科での承認取得からスタートしましたが、2022年には、消化器外科や婦人科へ診療科領域を拡大しています。さらに、遠隔手術の実現に向け、実証実験も行っています。

地域医療格差が是正され、都市部の熟練医師の手術支援を地方部でも受けられる未来が、近いところまで来ています。今後は、日本の医療業界を飛躍的に進化させる切り札になるかもしれません。

最新技術を搭載した手術支援ロボットシステム

- 受賞者メッセージ -
名誉ある賞をいただき大変光栄です。hinotori™サージカルロボットシステムは国産初の手術支援ロボットシステムです。出資元である、川崎重工業の産業用ロボットの技術と、シスメックスの医療分野における知見とネットワークをもとに、 医療従事者のニーズをくみ取りながら開発を進めてきました。今後、hinotori™を世界にはばたかせ、世界の医療へ貢献していきます。


KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。

2023年4月に発表された「KIZASHI vol.22『第9回 ものづくり日本大賞編』」では、2023年1月に決定した第9回ものづくり日本大賞受賞者のうち、近畿ブロックから受賞した10案件の取組をご紹介しています。

今回の受賞者の皆様も、それぞれの技術力を存分に活かしながら、その新規性と革新性、豊かな発想力によって、「ものづくり」を通じた様々な社会課題の解決に貢献されている、そんな姿を特集しました。

https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/jirei/jirei22.html

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