信楽焼 パリを「灯す」~艸方窯~
こんにちは。近畿経済産業局 地域ブランド展開支援室です。
近畿経済産業局では、世界に羽ばたくブランドとなることを目指して関西の地域ブランドのうち、12のモデル地域を対象として、支援に取り組んでいます。
その一環として、2024年3月、地域ブランド事業者の新規販路開拓やフランス現地市場進出に向けた知見獲得等を目的に、12の地域ブランドのワークショップ及び展示会を、フランス・パリで開催しました。
本記事では、信楽焼から参加していただいた事業者へのインタビューを通じて現地の様子を2回にわたってリポートします。
今回インタビューしたのは、艸方窯(そうほうがま)さんです。
参加のきっかけを教えてください
長年培ってきた製品開発技術が可能にした光るテーブルスタンド・洗面器。
パリでの率直な評価を聞き、今後の製造に更に活かしたいと思い、本事業への参加を決めました。
陶器が光を通すことは通常あり得ず、土の性質を理解し、自分が思い描く商品を作れるようになるまで、一筋縄ではいきませんでしたが、長年の開発努力が実を結び完成した商品には確固たる自信を持っています。
現地での反響はいかがでしたか
フランスのデザイナーとのワークショップで、今までにない着想を得ることができました。
今まではインテリアを中心に展開していましたが、現地で想定される利用場面から、エクステリアにも展開できるヒントをもらい、試作品の製作依頼にまでつながりました。
試作品は、陶器の内側に光源を入れ同時に複数の照明として用いるもので、これまでにない空間演出ができるようになるのではないかと思います。
信楽焼の良さを、どのように海外に伝えていきたいですか
今回の訪問で、展開先の国に合わせた利用方法があり、製品開発の可能性を大いに感じました。
これからも海外展開を見据えた製品開発を進め、信楽透土を活用した製品群、そして信楽焼が持つ魅力を海外に発信していきたいと思っています。
同時に、今の信楽焼があるのは、これまで信楽の振興に携わった方々の功績があってこそだと感じていますので、その精神そのものも継いでいきたいと思っています。
最後に、陶器づくりは思うように進まず、失敗に失敗を重ねることもありました。だからこそ、製品開発が成功したときの喜びは、ひとしおです。このものづくりの楽しさも併せて、伝えていきたいです。
艸方窯プロフィール
インタビュー後記
国内外問わず、市場を獲得していくためには、展開先市場のニーズを捉え対応していくことが欠かせません。
フランス・パリで開催したワークショップ及び展示会では、現地デザイナーや関係機関の多くの皆さまに参加いただき、地域ブランド事業者が展示した商品に対し、今後の商品開発や海外展開のヒントになる多くのフィードバックをいただきました。
その中で、地域ブランドだからこそ有する、地域ごとの特性や歴史、文化的背景は、ニーズを捉え形にする際の大きな強みになることを再認識しました。
特に関西地域は、多様な文化や歴史が交錯する場所であり、それぞれの地域ブランドが持つポテンシャルは計り知れません。
今後も、世界に羽ばたく関西の12の地域ブランドにご注目ください!