薄くて軽い、折り曲げても使えるペロブスカイト太陽電池で未来を照らそうと取り組む企業が、株式会社エネコートテクノロジーズです。

｢ペロブスカイト太陽電池｣でエネルギーの未来を創りたい

曇りでも、室内でも、環境を選ばず発電する「どこでも電源®」の実現に向けて邁進しているスタートアップ、株式会社エネコートテクノロジーズ。
次世代太陽電池の大本命である「ペロブスカイト太陽電池」の開発・製造を手がけます。

同社の設立は2018年。代表取締役の加藤尚哉さんが、京都大学時代の同級生で友人でもある若宮淳志教授が長年取り組んできた、ペロブスカイト太陽電池についての研究シーズを社会実装するため、京都大学の支援を受け、若宮教授とともに設立しました。

同社が掲げるコーポレートミッションは、以下の3つです。

（1）京都大学研究者の知の事業化
（2）ペロブスカイト太陽電池によるどこでも電源化の実現
（3）超長期的なエネルギー問題の解決への貢献

環境保護・自然エネルギーの有効利用の実現に向け、薄膜太陽電池でエネルギーの未来を創りたいと語る加藤さんと取締役の堀内保さんにお話を伺いました。

薄くて軽い、折り曲げても使えるペロブスカイト太陽電池

現在普及している太陽電池の95％以上はシリコン系太陽電池が占めますが、任意の場所に材料を塗って作れるペロブスカイト太陽電池は「薄い」「軽い」「曲げられる」という特長を持ちます。

そのため、重量制約のある屋根やビルの壁面など既存の技術では設置が難しかった場所にも導入することが可能です。
また、同社のペロブスカイト太陽電池は、曇り空や室内などの低照度でも発電でき、高い発電性能を発揮しています。

塗布・印刷プロセスで製造可能なこと、低温での製造が可能なことから、低コストで製造できるだけではなく、製造工程でのエネルギー消費量が抑えられ、CO2排出量を大幅に削減することが可能です。
カーボンニュートラル実現に向けて、ペロブスカイト太陽電池への期待は高まっています。

身の回りから宇宙までどこでも発電可能な未来を実現

こうした特長を持つペロブスカイト太陽電池は、様々な用途での活用が可能で、同社は、屋内用デバイスから宇宙産業まで幅広いマーケットを見据え、着々と開発を進めています。

その一例として、半導体商社との共同により、ペロブスカイト太陽電池を用いたIoTCO2センサー端末の開発に成功。屋内でも外部電源なしにCO2センサーを作動させ、無線でデータを送信することができます。　

同社はセンサー、ソーラー時計など低照度・小面積領域でのデバイス開発で先行していますが、将来的には、様々な企業や研究機関等とも連携し、京都大学の知見を強みとして、屋上発電、宇宙開発等、高照度・大面積領域でのマーケット拡大を目指しています。

超長期的なエネルギー問題解決を目指して

現在の我が国におけるエネルギー源の大半は化石燃料に依存しており、そのなかでも石油の割合が40％程度と最も高くなっています。
しかし、そのほとんどを中東地域からの輸入に依存しているため、安定的な供給が続くかという懸念もあります。

そんなエネルギー問題に対し、加藤さんは、『ペロブスカイト太陽電池で未来を創りたい』と語ります。
限りあるエネルギー資源の中で、無限の太陽光を利用し、国内唯一のペロブスカイト太陽電池専業スタートアップとして、日本の、そして世界の未来を照らしていきます。

KIZASHI［関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 （きざし）］

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県（福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県）における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。
年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI［関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 （きざし）］」として、とりまとめています。

2022年12月に発表された「KIZASHI vol.19 『社会課題の解決とともに成長する企業 – シリーズ：2025の先に待つ未来を描く 02 -』」では、社会の様々な課題を解決し、人々が快適に暮らすことができる社会を創ろうと奮闘する企業を特集しています。