柏原計器工業株式会社は、水道メーターの自社一貫生産メーカーとして、国内市場トップシェアを誇る企業です。

水道インフラから社会を変える

日本の社会問題である少子高齢化。この社会問題に、水道インフラの省人化によって解決に挑むのが柏原計器工業株式会社です。
　　　
同社は「和の精神に基づき、最新の技術と最大の活力により社会に貢献し、会社の発展と社員の幸福を求める」という経営理念のもと、常に新たなものを産み出す姿勢とチャレンジ精神を武器に、水道メーターの開発・製造・販売・検針・取り替え業務を行ってきました。

検針業務を効率化させる水道メーター　

同社は水道メーターのメーカーとして業界唯一、自社一貫生産を行い、品質管理を徹底することで信頼を高める、国内市場の販売数トップシェア企業です。
同社の主力製品であるIoTを活用した「ハイブリッド式水道メーター」は、無線によって水道使用量計測データの送受信を可能にし、遠隔・一括での検針を実現します。

これまで、各家庭の水道メーターを個別に確認して水道の使用量を計測していましたが、同製品によって遠隔・一括で検針できるようになり、省人化を実現しました。
クラウドを活用したマンションの水道使用量管理や、家庭での水道使用量の見える化、災害対策への活用等、規模の大小を問わず社会の課題を幅広く解決します。

製品の開発背景

少子高齢化の進む日本では、検針業務を省人化しなくてはならないという思いから「ハイブリッド式水道メーター」は生まれました。
開発の背景には、三浦社長自身が幼い頃から検針業務に携わり、その苦労を実感していた経験が活きています。

三浦社長は、同じように苦労している人がたくさんいることを知り、日本の過ごしやすい未来社会には検針業務の効率化が求められると確信し、同製品の開発に着手しました。
「苦労を一つずつ解決し、昨日より今日、今日より明日を良くしよう。この繰り返しで社会全体の明るい未来が築けるはずだ」
という三浦社長の考え方があってこそ実現した製品です。

社長の思いと今後のビジョン・戦略

三浦社長のこの考え方は、同社の社員にも深く浸透しています。
製品の改良一つとっても、製造現場やユーザーの苦労に耳を傾けることが徹底されているのです。

例えば、従来の製品では、水道メーターが正しく設置できたかを外見から判断することが難しく、設置担当者が苦労しているという話を耳にした開発部は、正しく設置できていると電気が点灯するよう、水道メーターを改良しました。

また、同社は、苦労を解決するためであれば、どんなに難しいチャレンジでも否定しません。
過去に機械の改良がうまくいかなかった社員に対して、三浦社長は「大丈夫。次にどう活かすかを考えればよい。」と言いました。
その社員は、この言葉があったから次もチャレンジできる、そう嬉しそうに話します。

加えて、外部のセミナーや勉強会への出席も自由に認め、社員の学ぶ姿勢を最大限尊重しています。
　　　　　　　
これらの社内風土が、「ハイブリッド式水道メーター」という技術革新を産み出したのです。
今後も、様々なアイデアを形にし、社会課題を解決に導いていくことでしょう。

KIZASHI［関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 （きざし）］

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県（福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県）における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。
年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI［関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 （きざし）］」として、とりまとめています。

https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/jirei/jireitop.html

2023年1月に発表された「KIZASHI vol.20 『不変と可変　揺るぎない価値観、絶え間ない挑戦』」では、事業環境の変化を前向きに捉え、絶え間ない「挑戦」を続ける中小企業11社に対しインタビューを実施し、その「挑戦（可変）」の裏に宿る、揺るがない「価値観（不変）」を大切にしている姿を特集しています。

https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/jirei/jirei20.html