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オープンファクトリーの魅力は「人」~企業の可能性を高める共創の拡がり~ - 株式会社小泉製作所 -(シリーズ:オープンファクトリー #2)

関西各地でオープンファクトリーを実施している企業様へのインタビューを通じ、どんな想いを込め取組を始めたのか、取組により企業や社員にどのような変化があったのか、オープンファクトリーの魅力を紹介するシリーズ:オープンファクトリー(バックナンバーはこちら↓)

第2回は、株式会社小泉製作所さんをご紹介します。


進化を続けるワークショップで貴重な体験を提供

大阪府堺市に拠点を置く株式会社小泉製作所

同社はパイプ加工や溶接、メッキ処理を得意としており、2020年から八尾市を中心としたオープンファクトリー「 FactorISM (ファクトリズム)」に参加しています。

FactorISM への参加を通じて感じたオープンファクトリーの魅力や社内にもたらされた変化を、社長の小泉達哉さんにお伺いしました。

堺市職員からの紹介でオープンファクトリーを知ったという小泉社長。

あまり知らなかったものの、「知らなかったからこそやってみよう」と思い、2020年に FactorISM 堺支部に参加しました。

社内で企画を出し合い、毎年ブラッシュアップした内容で参加者を迎える同社は、人気の「溶接体験」のほか、工場内に並ぶ高い加工技術を生かした様々な工作物で、一人一人の心に残る体験を提供しています。

同社に入ってまず目にしたのは、多くの機械と作業台。

ここではオープンファクトリー参加者に大人気の「溶接体験」を実施しており、社員さんのサポートをうけながら、実際にナットとネジの溶接を行うことができます。

この溶接体験について小泉さんは、

「溶接をやったことがある」と胸をはって言ってもらいたい。やったことがあること、知っていることを増やして、訪れたお客さんの人生をより豊かなものにしてほしい。

と話します。

金属が溶けて接合する瞬間の熱やにおいを間近で味わえ、できあがった同社のオリジナルキャラクター「ネジやん」を持って帰ることもできるこの体験。参加者一人一人の心に残る、一生もののワクワクが味わえます。

オリジナルキャラクター「ネジやん」 愛さずにはいられない

オープンファクトリーがもたらす人や企業との繋がり

同社のあらゆるところに展示されている工作物。

溶接体験でも製作できる「ネジやん」のほか、金属の材質の違いを感じ取ることのできる折り鶴など、これらはすべて、同社の高度な金属加工技術を生かして製作されたものです。

こうした展示物は、自社の技術力、こんなものを作ることができるということを知ってもらう見本市になり、訪れた企業から、この技術を生かした新しい仕事の話が持ち込まれることが非常に多いと言います。


続いて「小泉製作所といえばここ」という会議スペースでもお話を伺いました。

様々な製品が並ぶ会議スペース 秘密基地さながら

同社の技術が詰まった関連製品から目が離せないこの場所で、訪れた企業と製品開発の話に発展し、新製品の多くが誕生するなど、仕事の幅を広げてくれていると言います。

オープンファクトリーでは、ビジネスを取っ払って、本音で接することができる

と語る小泉さん。

あえて隠さずに見せることで、評判が広まり、人との繋がりが生まれる。オープンファクトリーの魅力はまさにそこにあります。

また、オープンファクトリーをきっかけに多くの企業と知り合うことができたとも言います。

香川県のオープンファクトリー「CRASSO(クラッソ)」とも繋がりができ、「ファクトリズム」堺支部とお互いを訪問し合うなど、地域外にもそのネットワークを着実に広げています。

来場者からの声が社員のモチベーションに

オープンファクトリーが同社にもたらした効果は、人との繋がりだけではありません。

何を見せたら良いか?と、社員1人1人が自分事として考えるようになりましたね。

人が来るならもっと片付けよう」といった、企業にとってプラスの習慣も自然と身につくんですよ。

と小泉さん。

インタビューに協力いただいた社長の小泉さん

取組開始の時期がコロナ禍と被っていたこともあって、決して参加当初から社内全体が協力的な雰囲気であったわけではなかったそうです。

オープンファクトリーの実施に前向きであった一部の社員の力も借り、社内にポスターを掲示したり、社内で意見を出し合ったりしながら、社員に気づきを与えていくうちに、主体的に取り組んでもらえるようになりました。

また同社では、お客さんからの感謝の気持ちを、社長ではなく直接社員に伝えてもらう機会を設けています。

普段の仕事の取引先から、溶接体験に参加した大勢の子どもたちまで、「ありがとう」という言葉をかけられる瞬間は、何物にも代えがたい社員の原動力になっています。

これからオープンファクトリーを始める企業の皆様へ

すぐにでもやった方がいいです。やれば変わります!

オープンファクトリーの魅力はとにかく“人”

と熱く語る小泉さん。

オープンファクトリーで生まれた多様な人との繋がりが、仕事の幅、同社の可能性を広げてくれたし、実施する側の社員も、自分たちが作り上げた企画で楽しむ参加者の姿が大きなモチベーションとなり、新しいことへ取り組む姿勢が磨き上げられました

と語ります。

今後の展望を伺うと、「やりたいことはすぐにやる」と心強い回答。

10月24日からはじまる FactorISMをはじめ、自社でも関心のある人を連れて近隣企業を巡るツアー企画を実施しており、企業同士の繋がりの架け橋となっています。

オープンファクトリーを通じて培ったネットワークと社員の主体性を武器に、小泉製作所は、これからも参加者に一生ものの体験を提供し続けます。

#シリーズオープンファクトリー

オープンファクトリーとは

オープンファクトリーとは、ものづくり企業が生産現場を外部に公開したり、来場者にものづくりを体験してもらう取組です。

取組を通じて新たな接点やコミュニケーションが生まれるだけでなく、社員の成長やモチベーションにもプラスの影響を与えるという点で、現在注目を浴びています。

近年では、企業単独の取組はもちろん、ものづくりに関わる中小企業や工芸品産地など産業が集積している地域を中心に、地域内の企業等が面として集まり、地域を一体的に見せていく「地域一体型オープンファクトリー」も全国で広がりを見せています。

地域一体型オープンファクトリーとは(出典:近畿経済産業局)
OPEN FACTORY REPORT 2.0(出典:近畿経済産業局)
企業単体で取り組むオープンファクトリー集(出典:近畿経済産業局)