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やりがいをもって常にチャレンジ(株式会社ヤマナカゴーキン)

ものづくりのまち東大阪を拠点に、国内外に事業展開し続ける金型メーカーとして1966年に設立されたのが、株式会社ヤマナカゴーキンです。
超硬という加工が難しい合金素材を、独自の技術でいち早く金型に取り入れたことで、大きく企業は躍進しました。

その後、自動車部品の製造に使用される金型も手がけるほどに技術を磨き、今では大手自動車メーカーの技術者たちからも厚い信頼を寄せられる会社へと成長を遂げています。

・株式会社ヤマナカゴーキン
・設立 1966年
・資本金 8,500万円
・従業員数 国内200名、海外250名
・業種 金型製造業
・所在地 大阪府東大阪市加納4-4-24
#挑戦 #東大阪 #鍛造用金型

業界の大きな変革をチャンスと捉えた新たな開拓

しかし、実は金型業界は大きな時代の変化に直面しています。
近年の電気自動車の需要の高まりは、従来型の自動車部品点数の減少につながり、金型業界も影響を免れません。

さらに、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う自動車の生産台数減少は、自動車関連業界に大きな打撃を与え、自動車メーカーに対する売上が大半を占める当社も例外ではなく受注減少に直面しました。

こうした時代の変化に危機感を抱きつつも、ピンチをチャンスと捉え、同社は様々な挑戦に果敢に取り組んでいます。 

代表取締役社長 山中 雅仁さん

オポチュニティ(機会)を感じるのが楽しい

「『挑戦』は当社の先代からのポリシーで、チャレンジについては、前向きに捉える風土がある」そう語る山中社長は、業界他社に先んじた取組を自ら先導してきました。

例えば、今では同社を代表する事業の一つに成長しているセンサー事業も、立ち上げ当初は厳しかったものの「長い時間をかけて解決できることだからこそ、そこに強みが生まれる」という信念を貫き挑戦を続けてきました。

国内外の業界や学会とも広く交流するなど、新たな可能性を常に探求し、粘り強く実践する山中社長の姿勢は、同社が目指す方向性を体現しています。

若手社員が中心となり作成した会社のビジョン等をまとめたハンドブック

「1つのことだけをやっていると、いずれダメになる。色々なことに挑戦し、オポチュニティ(機会)を感じるのが面白い」と話す山中社長は、社員に対しても新たなことに積極的に挑戦してほしいと呼び掛けています。

このため、社員の行動評価と実績評価を連動させ、日々の細かなチャレンジを拾い上げて評価する仕組みを作るなど、社員が既存のやり方にとらわれない行動を起こしやすい社内環境づくりにも力を入れています。

また、最近では若手社員を中心としたチームをつくり、これまで先輩社員が大事にしてきた社是や社訓、当社のビジョンをまとめた社員向けのハンドブックを作成しました。山中社長は「技能習得も大事だが、若手が積極的にこうした取組に関わり、組織のイズムを自ら考えることもまた重要だ」と考えており、社内全体の雰囲気作りにも目を配らせています。 

会社のビジョンと自分の仕事を繋げることが大事

新型コロナウイルス感染症は、同社の生産現場のあり方にも大きな課題を突きつけました。現場では技能者が複数の作業工程を担うことができない場合、1人が休むことで製造ラインがストップしてしまうリスクが生じます。このため同社では、社員が相互に技能を教え合う研修の時間を毎日30分確保するなど、技能者が複数工程をこなすことができる多能工化を目指した取組を進めています。

また、工場内の3S活動(整理・整頓・掃除)徹底のために更に毎日30分を費やし、自らの作業を振り返る機会を設けたり、3Sの社内講師の育成などにも取り組んでいます。

生産現場を統括する山中部長は「結局そこができていなければ、生産を進めても出戻りも多くなり、非効率になるので大事にしている」と話します。そして「工場における各自の仕事について、チャレンジできることはないか、何か改善できないかをいつも意識してもらえるように話をしている」と言うように、山中部長は会社のビジョンを現場に浸透させる橋渡し役も務めています。

組織開発担当部長 山中 義貴さん

挑戦の風土を社内で共有し更なる高みへ

山中社長は同社をより成長させるためにも、「今後はよりいっそう『挑戦の風土』を社内で共有していきたい」と言います。今までも様々なことにチャレンジをしてきた同社ですが、社員全員がチャレンジを行いやすいように、マネジメント面でも更に取組を強化していくことが必要と考えています。

さらに、山中部長は、生産現場の実態を踏まえつつ経営ビジョンを社員全体に根付かせるためには、社員とのコミュニケーションや関与のバランスが大事だと指摘しています。

今まさに大きな変革を迫られている業界において、確かな技術を持ちつつ、社内外のコミュニケーションを大切にしながら、会社が目指す姿を社員と共有し更に前に進もうとしている同社は、今後も新たな価値の創造に挑戦していくに違いありません。

KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。

2023年1月に発表された「KIZASHI vol.20 『不変と可変 揺るぎない価値観、絶え間ない挑戦』」では、事業環境の変化を前向きに捉え、絶え間ない「挑戦」を続ける中小企業11社に対しインタビューを実施し、その「挑戦(可変)」の裏に宿る、揺るがない「価値観(不変)」を大切にしている姿を特集しています。


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