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ロボットの動きで示す「存在感」​(iPresence株式会社)

画面上でのやり取りが当たり前となった現在。コロナ禍でのあらゆるイベントのオンライン化は記憶に新しい。
そんなオンライン上での人と人のやり取りの中に、ロボットの力を活用したソリューションを提供するのがiPresence株式会社である。

iPresence株式会社
設立  :2014年​
資本金 :1,000万円​
従業員数:20名​
業種  :テレプレゼンスアバターロボットと関連システムの開発・販売​
所在地 :兵庫県神戸市東灘区向洋町6-9神戸ファッションマート​
#テレロボットを用いたコミュニケーション
#リアルとバーチャルの架け橋 #人と人のつながり #人づくりで始まる未来づくり


ロボットで結ぶ​人と人とのつながり​

同社の理念は "Share the experiences"。
遠く離れた人とも同じ空間や経験を共有することを目的としており、コロナ禍で一般化したオンラインでのやり取りの中でも「人と人とのつながり」を特に重要視しています。​

離れていても「存在感」の​あるコミュニケーションを ​

2014年頃、テレビ会議をはじめとした遠隔コミュニケーションシステムのマーケットは頭打ちではないかと感じていた中、遠隔地にロボット経由で「存在」ができるというテレプレゼンスアバターロボット(テレロボット)の概念に出会った社長のクリス・クリストファーズさん。

社長のクリス・クリストファーズさんと​ 自走式テレロボットtemiV3​

当初、ロボット掃除機が一般家庭に普及するのを見て、ロボット分野への興味も広げていた中で遠隔コミュニケーショ​ンシステムとロボットを組み合わせた仕組みに可能性を見出しました。​

広大な土地という特有の問題によって、遠隔技術の需要が高かったアメリカでの先行事例を見たことが、本格参入を決意し、日本での普及を目指すきっかけとなりました。​

現在は、「テレロボット」を活用した先端技術によって、離れていても存在感のある、新たなコミュニケーション手法の開発・普及に取り組んでいます。​

ロボットを活用し境界線の​ないコミュニケーションを​

テレロボットの特徴は、可動式のロボットの頭の部分にディスプレイが付いている点。
使用者はスマートフォンやタブレット、PCからビデオ会議に参加しつつ、相手側にいるロボットを遠隔でコントロールすることで、自分が見たい方向にディスプレイの向きを変えることや、自分が行きたい方向へロボットを進めることができます。​

リアルな参加者がいるセミナーや会議にオンラインで参加した場合、「置き去り感」が生じたり、発言するタイミングを失ったりと、自身の存在感を示すことは難しいです。 ​

テレロボットをアバターとして活用し動きやリアクションを示すことで、現地にいる参加者と共に臨場感のあるコミュニケーションを取ることができます。
セミナー終了後の交流会でも、テレロボットを操作しリアル参加者との名刺交換など、より双方向の交流も可能になります。​

テレロボット操作者が​ 発表者のプレゼンを聞き​ 質疑を行っている光景​

こうした方法は教育現場でも活用されています。

病気やけがなどで学校に通うことのできない生徒たちが、授業中教室に置かれたロボットを操作することで黒板の端から端まで見ることができるのはもちろん、体育の時間になれば友人がロボットを運動場に連れて行ってくれます。
休み時間中に周りの友人との“ワイワイガヤガヤ”とした時間を共有することも可能です。​

「学校教育」という生徒自身の将来や人間形成に関わる大切な場面で、学習の機会を確保するとともに、生徒が復帰した後にスムーズに学校生活に戻ることにも貢献しています。​

大阪府立登美丘高等学校の授業中の様子 「卓上型テレロボットkubi」を使用

テレロボットをコミュニケーションの選択肢のひとつに​

コロナ禍で多くの人がオンラインを経験したことも追い風になり、今後あらゆる分野でのリアルとオンラインの「ハイブリッド」が進んでいくと考えるクリスさん。
今後は両者の架け橋となる「現場に行ける」テレロボットの需要が高まっていくと考えています。​

離れた場所をつなぐことだけではなく、互いに「目線」が交わり合うことで同じ空間や経験を共有できることはオンラインでのコミュニケーションの高機能化につながるのではないでしょうか。​

「テレロボットの普及を通じ、選択できることが当たり前の社会を実現したい。テレロボットが当たり前の存在になれば、離れた場所から仕事や学習を行う際はもちろん、医療や介護といった分野にでも、人とのつながりを失わずにコミュニケーションを継続させることができる」とクリスさんは語ります。​

ガンダムやドラえもんなど、ロボットは人を助けてくれる存在だというイメージが定着している日本。
人と人とをつなぐ、新たなコミュニケーションを助ける存在としてテレロボットを普及させるべく同社は取組を続けていきます。​


KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。