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オール・イン・AOI~オートメーションを追求する高い技術力~(葵スプリング株式会社)

葵スプリング株式会社は、線バネ・板バネなどといったバネの製造から、溶接などを用いたアッセンブリー(組み立て)までを一貫して行う、ものづくりの街「大阪府八尾市」に本社を構える1953年創業のオーダーメイドバネメーカーです。

葵スプリング株式会社
設立 1953年
資本金 2,400万円
従業員数 40名
所在地 大阪府八尾市太田7-18
#バネ製造 #自動生産 #内製率

バネ製造のスペシャリスト

「バネなら葵さんへ」と言ってもらえる、そんな会社を目指す同社は、家電製品・二次電池・自動車分野を中心に、最近では航空機分野へも進出し、日本を支える基幹産業を支えています。また、日本だけでなく海外の自動車メーカーの認定工場に指定されるなど、世界を支えるグローバルなオーダーメイドバネメーカーへと成長し続けています。  

一方、バネ業界では需要の多い部品には競争相手も多く、各社の特徴や強みを出すことが難しいと言われています。そんな中で、同社がスペシャリストとして認知される理由は、他社が嫌がる複雑な形状のバネの一貫製造(オールイン)と、厳しい品質管理、そして、そこから生み出される高い信頼性にありました。

開発・発注プロセスの「オールインAOI」

オートメーションの追求

そんな同社の最大の強みは「オートメーションを追求する高い技術力」。「どんなに複雑な形状のバネでも人の手による加工は入れず、機械による自動生産でものづくりを完結させることにこだわっている」と代表の青戸さんは語ります。

また、お客様からの要望に最大限応えるべく、製造工程の内製率は90%を超え、複雑な形状のバネでも自動生産・短納期対応を可能としています。

新型コロナによる破壊

同社は、自動車や電子部品、産業用機械など、特定の業界に依存せず幅広い業界と取引を行っていましたが、それでも新型コロナウイルス感染症の影響はかなり大きいものでした。

特に2020年の上期売上げは前年対比で3割を超える減少となり、大打撃を受けました。
また、緊急事態宣言時にサプライチェーンの供給が途絶えたことを踏まえ、一部の取引先では、発注先を分散させリスクヘッジを図ることが決まり、今後の売上半減が確定した製品もあったと言います。

そんな中で仕事の大小にこだわらず、同社の社員は粘り強い営業活動を続けることでなんとか経営状況を持ち直しましたが、それでもコロナになる以前の売上には届きませんでした。

破壊からの再生~事業再構築~

同社には先代、先々代から続くロングセラー商品があります。サイクルの長い商品もあります。長く続く信頼の中で組織としては安定してきた一方、新しいことに取り組む文化が社内にはありませんでした。

「このままではいけない」と社内の新陳代謝、新しいことに取り組む風土づくりを進めている最中、ちょうどそのタイミングで、これまで経験の無い業界から、新素材・新用途に関する部品製造の話が来ました。これに挑戦するためには、関西ではほとんど導入されていない大型の機械が必要でした。

そんなときに、今回の事業再構築補助金の話を知ったのです。

「変わるのは今しかない」そう思ったと青戸社長は言います。
技術力に自信をもつ同社の従業員にとって、より一層の誇りや、やりがいにきっとつながる。新しい市場はそれだけ魅力的でした。

大型の機械を入れるためには、既存の機械を処分しスペースを確保する必要があり、前に進むためには古いものを捨てなくてはいけません。愛着のあった機械でしたが、新しい事業と事業再構築補助金、そして「変わらなければならない」という強い思いが処分への背中を押してくれました。

葵スプリング株式会社 代表取締役社長 青戸 宣暁さん

アオイのコレカラ 

同社が掲げる「オートメーションの追求」は品質管理や効率化、コストダウンだけではありません。昨今、多くの中小企業が直面している人材問題の解決にも役立つと青戸さんは考えています。

最新鋭の設備を整えることは大切ですが、その設備を選定し、操作するのは「人」です。新規の仕事を受注するのも、設計、検査、梱包、事務作業もすべて「人」です。

青戸さんの考える「オートメーションの追求」とは、作業を機械に任せることで「人」が仕事に専念し、「人」が成長できる環境づくりなのです。

「携わるすべての人々を幸せにする」ことを常に考え、「世界の人々の生活レベルの向上に貢献できる企業」を目指し、同社は常に挑戦し続けます。


KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]

経済産業省近畿経済産業局は、近畿2府5県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における経済産業省を代表する機関であり、経済産業施策の総合的な窓口機関です。年間 1,000 件以上にも及ぶ企業訪問を通じて、未来に向けて躍動する関西企業を発掘し、そんな企業の挑戦を、より良い未来を見据えた変化への「兆し」と捉え、「KIZASHI[関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆 (きざし)]」として、とりまとめています。

2023年2月に発表された「KIZASHI vol.21 『事業再構築で動き出すそれぞれの未来』」では、「事業再構築補助金」を活用しながらコロナという大きな危機を超えるため、ありたい姿と未来に向けて挑戦する中小企業9社にインタビューを実施し、補助金だけではない成長に向けたヒントを特集しています。

https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/jirei/jirei21.html

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