見出し画像

関西バッテリーだよりDENCHY 関西蓄電池人材育成等コンソーシアム事務局対談【後編】- バッテリー産業の未来(3)-

こんにちは。近畿経済産業局 次世代産業・情報政策課です。

今回の関西バッテリーだより-DENCHY- では、「関西蓄電池人材育成等コンソーシアム」の事務局による対談を2回にわたってお届けします。

今回は後編! 前編はこちら↓

前編に引き続き、一般社団法人電池工業会(BAJ)の髙田さん、一般社団法人電池サプライチェーン協議会(BASC)の鈴木さんへ、ともにコンソーシアム事務局を務める近畿経済産業局(以下、局)がインタビューを行いました!

#関西バッテリーだよりDENCHY #バッテリー人材育成  

関西バッテリーだより-DENCHY-バックナンバー↓


バッテリーとの出会い

(局)
お二人のこれまでのバッテリー業界との関わりを教えてください。

(髙田さん)
電池メーカーに就職し、30年以上バッテリーに関わっています。技術職として入社しましたが、大半の期間は営業部門に在籍していました。

当時は小型リチウムイオン電池の開発が進み始めた頃で、顧客のニーズを聞き取り開発部門へ繋ぐ B to B 営業としての役割を担っていました。現在は、BAJにてバッテリー産業の調査等に携わっています。

(鈴木さん)
大学では燃料電池の研究をしていました。

自動車メーカーへ就職し、リチウムイオン電池の開発部署に配属されたことをきっかけにリチウムイオン電池、全固体電池の開発にこれまで携わってきました。後に電池メーカーへ出向し、渉外担当としてBASCの立ち上げに携わる等、バッテリー産業の競争力向上のために日々尽力しています。

コンソーシアムの活動裏話

(局)
現在、コンソでは産学官が密に連携して取組が進んでいると思います。業界団体として、意識していることはありますか?

(髙田さん)
まずは産業界が一枚岩となるためにBAJ・ BASCで月1回意見交換の場を持ち、製造能力増強に人材は不可欠で、そのためには産業界全体での協力が必須との認識を共有しました。

教材作成には電池メーカー担当者にも参加してもらい「皆で手を動かして一緒に作る」よう意識することで結束力が強まったと感じています。

(一社)電池工業会(BAJ) 総務・調査担当部長 髙田さん

(鈴木さん)
これまで日本のバッテリー産業は尖った技術のすり合わせを強みに世界をリードしてきたがゆえ、電池メーカー各社は、技術に関する情報公開は極力控えるのが慣習。

なので、バッテリー人材育成のためには、業界に興味関心を持ってもらうこと、どんなプロセスで電池ができるのか、どんな技術が使われているのかを広く学生に理解してもらうことが大切だ、という考えを各社で共有し、協調路線に意識を切り替えることがとても重要でした。

(一社)電池サプライチェーン協議会 事務局長 鈴木さん

(髙田さん)
学校の先生方とのコミュニケーションについては、双方で一般的に使っている業界用語が分からないという言葉の壁も悩みでしたね。

(鈴木さん)
そのために、バッテリーの将来性を丁寧に説明したり、工場見学の機会を持ったりしてバッテリーの魅力を伝えることと、授業の見学や対話を通じて、先生方の想いを理解することに努めました。

そうした経験は、コンソーシアムでの活動にとって学びが大きいものでした。

バッテリー教材に込めた想い

(局)
3月にリリースしたバッテリー教育プログラム教材の魅力はどんなところでしょうか?

(髙田さん)
電池メーカーの社内教育資料を基に、技術者直伝の現場の生の情報を加え、先生方との意見交換やデモ授業を行いながら作成しました。

学生にとって分かりやすい表現・先生が使いやすい構成になるよう工夫しています。

入社後にも役立つ学びがありますし、また、電池メーカーだけでなく、材料メーカーや車、エネルギー、DX関係の業種等でも知っておいて損はない知識が盛り込まれているはずです。

(鈴木さん)
先生ご自身で教えられる点がポイントです。学生の興味や必要な学びを一番に理解している先生が授業を行うことが大切と考えています。

一方で、製造工程の解説等、専門知識がやや多い部分の授業は、地元の電池関連企業と連携していただき、企業の現場を良く知る従業員が直接解説することで、より学びを深めていただくことも可能だと思います。

(髙田さん)
最近では、バッテリー授業を実施し魅力に共感した先生が、他の先生方にバッテリー教育の宣伝をしてくださっています。

我々の想いが先生方に伝わり、こうしてバッテリー教育の輪を広げてくださったり、よりよい教材づくりのためにご意見をいただいたりと、熱意をもってバッテリー教育に関わっていただいていることをとても嬉しく思っています。

(鈴木さん)
今後国内各地でバッテリー工場の新設が進むことが予想される中、バッテリー教育を実施する学校が全国に広がることを期待しています。

今後の取組に向けた意気込み

(髙田さん)
授業を実施した先生のフィードバックもふまえて、産学官で教材の拡充に関する検討を進めています。

昨年度より発展的な内容も扱う予定で、企業や先生方と、より細やかな調整
に努めたいと考えています。

また、子どもの頃からバッテリーに親しみを持ってもらうため、BAJでは「手づくり乾電池教室」等のイベントを主催しています。8月には、経済産業省こどもデーにも出展し、313人の参加がありました。

(鈴木さん)
BASCではバッテリー産業への新規参入を検討する企業向け電池セミナーを昨年度から開講していますし、今年度は新たにCEATEC2024に電池業界が一体となってブース出展をすることになりました。これからもバッテリー業界の魅力発信のために、様々な取組に挑戦したいです。

Key Person Message

本年度からバッテリー分野初の産学連携による教育プログラムが本格開始し、今後更なる取組拡充を目指します。

最後に、BAJでは3年前から「でんち川柳コンテスト」を実施しております。

ここで一句。

バッテリーで 動かせ、未来を。 DENCHYと共に

是非私たちの仲間に入って頂き、一緒に蓄電池で未来を動かしましょう!

(一社)電池工業会総務・調査担当部長 髙田 浩氏

編集後記

後編では、バッテリー産業の振興にかけるお二人の想いをお伺いしました。産学官連携には密なコミュニケーションや歩み寄りが大切なこと、また「現場を見る」ことがより深い相互理解に繋がるとのお話が印象的でした。

本コンソーシアムでは、引き続きバッテリー教材の拡充、普及と、バッテリー業界の魅力発信の取組を推進していきます。今後のDENCHY記事も、どうぞお楽しみに!


関西バッテリーだより-DENCHY-とは

GX・DX等の実現にかかせない様々なイノベーションを支える基盤として、長期的な成長が見込まれるバッテリー(蓄電池)産業。

経済産業省は2022年8月に「蓄電池産業戦略」をとりまとめ、2030年までに国内150GWh(年間)のバッテリー製造能力を確保する等の目標を打ち出し、バッテリー関連企業が集積している関西エリアで「関西蓄電池人材育成等コンソーシアム」を立ち上げました。

これから益々の盛り上がりが期待されるバッテリー産業ですが、基盤産業であるからこそ、一般の目に触れる機会が少なく、その魅力が十分に認知されていないと考えています。

そこで近畿経済産業局では、未来を担う若い世代を含め、多くの方にバッテリーの魅力を“やわらかく”お伝えしたいという想いから「関西バッテリーだより - DENCHY -」をスタートしました。

今後も、様々なゲストへのインタビュー記事も順次お届けしますので、ぜひご覧ください!

関西蓄電池人材育成等コンソーシアム(近畿経済産業局HP)
関西バッテリーだより - DENCHY - バックナンバー(近畿経済産業局HP)